活断層評価書を原電に事前漏えい 規制委審議官
2013年2月1日 21時54分
原子力規制委員会事務局の名雪哲夫原子力規制庁審議官(54)が1月22日、敦賀原発(福井県)の活断層問題で揺れる日本原子力発電(原電)幹部に対し、公表前の評価報告書の草案を渡していた。事務局の森本英香次長が1日の記者会見で明らかにした。規制委はなれ合いの原子力行政に終止符を打つために設立されたが、発足から半年もたたずに大きな不祥事となった。
名雪氏は事務局のナンバー3で、地震・津波対策部門を取り仕切り、評価書草案の内容を書き直す職務権限を持っている。内部調査に名雪氏は「軽率だった」と話したという。規制委は1日付で名雪氏を訓告処分として更迭、出身の文部科学省に出向させた。
事務局によると、名雪氏は先月22日、あいさつ名目で訪れた原電の市村泰規常務ら3人と、一人で審議官室で会い、30分にわたり面談。その際、敦賀原発の活断層問題に関する専門家チームの評価会合のために用意していた評価書草案を手渡した。会合は同28日に開かれた。
敦賀2号機の直下を走る断層は活断層の可能性が高いとの判断は、既に昨年12月10日の評価会合で専門家が全員一致で出していた。ただし、結論がどんな事実認定と論理で出されるかは、事業者としては最も得たい情報だった。
原電によると、原電側は昨年12月21日から5回、名雪氏に接触。先月28日の評価会合には原電の担当者を出席させ、反論しやすいよう事前に草案を提供するよう求めていたという。
規制委内のルールでは、電力会社など規制される側とは必ず2人以上で面談し、面談内容も後に公表することになっている。名雪氏は面談翌日に担当者に報告した。
事務局の調査は、ほぼ名雪氏本人への聞き取りだけ。だが、森本次長は「本人は金銭の授受などはないと言っている。内規違反だが法律違反はない。名雪氏個人の問題だ」と述べ、追加調査はしない考えだ。
規制委は、儀礼上のあいさつなどは一人で対応してもよいとしていた。森本次長は「あいさつの途中から敦賀原発の具体的な話になった。その段階で別の職員を呼ぶべきだった」と述べたが、今後あいさつそのものを規制するかどうかは明言を避けた。
(中日新聞)
NHK
規制庁幹部 事業者に報告書案渡す
2月2日 4時53分
国の原子力規制委員会の事務局を務める原子力規制庁の幹部が、福井県の敦賀原子力発電所の敷地にある断層調査の報告書案を公表前に事業者側に渡していたことが分かり、原子力規制庁は、この幹部を訓告処分にしました。
処分を受けたのは、原子力規制庁の名雪哲夫審議官です。
原子力規制庁によりますと、名雪審議官は先月22日、日本原子力発電の敦賀原発の敷地にある断層を巡って、原子力規制委員会の専門家会議が活断層かどうかを調査した内容を記した報告書案を、公表前に事業者の日本原子力発電の幹部に渡していたということです。
原子力規制庁は極めて不適切な行為だとして、名雪審議官を訓告の処分にするとともに、1日付けで審議官を更迭し、文部科学省に出向させました。
原子力規制庁は、東京電力福島第一原発の事故を受けて、これまでの規制当局が原発の安全を守るために電力会社などの事業者に対して十分な規制ができていなかったという反省に立って去年9月に発足し、独立性や中立性を保つために事業者と面会する場合は面会の日時や内容を公表するなど厳しいルールを設けています。
原子力規制庁の森本英香次長は「規制当局の幹部として著しく軽率な行為であり、今後このようなことのないよう信頼回復に努めている原子力規制組織として、襟を正して職務に当たる所存です」と述べました。
“自分たちに非はない”
これについて日本原子力発電は、名雪審議官とは去年12月10日以降5回面会し、この中で事前に報告書案の内容を教えてほしいと求め、名雪審議官から「評価にあたった専門家の了解を得られれば可能だ」と説明を受けたとしています。
そのうえで、受け取った報告書案について「公表されていないという認識はあったが、評価にあたった専門家の了解が得られたものと考え、持ち帰った」と説明しています。
また事業者との面会には複数で対応しなければならないという原子力規制庁の内規を知っていたということですが、いずれの面会の際も名雪審議官は1人だったということです。
そのうえで、日本原子力発電は事前に報告書案を受け取ったことで何らかの働きかけをするなどの行動は一切取っていないとして、「自分たちに非があるとは思っていない」としています。
“非常に軽率”
原子力規制委員会の田中俊一委員長は「原子力の規制組織として信頼回復に努めているなかで幹部がこうした行為をしたことは誠に遺憾だ。特に、規制される側との接触は慎重でなければならず、今回の行為は非常に軽率だったと言わざるを得ない」として、職員に対して、襟を正して職務を当たるよう通達したということです。
毎日JP
敦賀・断層調査:原電に原案漏えい 規制庁審議官を更迭
毎日新聞 2013年02月01日 21時46分(最終更新 02月02日 00時09分)
原子力規制委員会は1日、事務局の原子力規制庁の地震・津波担当の名雪(なゆき)哲夫審議官(54)を、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査の報告書原案を、有識者による評価会合前に原電に渡していたとして、訓告処分にしたと発表した。規制委は名雪氏を更迭し、同日付で出身の文部科学省に出向させた。規制委の田中俊一委員長は「信頼回復に努める中での不適切な行為で誠に遺憾」と規制庁に再発防止を指示した。
規制庁によると、名雪氏は会合前の1月22日、庁内の執務室で、原電の市村泰規(たいき)常務ら3人と約30分間、面会した際に報告書原案を手渡した。規制庁側の同席者はなく、1人で電力事業者と面会するのを禁じる内規に違反する。名雪氏が同23日に申し出て、職務を外された。名雪氏は文科省や内閣府原子力安全委員会で原子力行政を担当してきた。
面会は原電からの要請で、内規で記録を残すことを義務付けていない「儀礼上のあいさつ」との名目。途中から敦賀原発の話題になったという。名雪氏は規制庁の聴取に「評価会合を実りあるものにする意識で渡した。金品の授受もなかった」と説明したという。一方、原電によると昨年12月以降、名雪氏と市村氏らは5回面会。原電側は初回の同21日、報告書案に反論しやすいよう評価会合前に内容を教えてほしいと要請した。名雪氏は「委員と相談する」と答え、1月22日に渡された。原電は「委員の了解が得られたと考えた。非はない」と説明した。
規制庁の森本英香(ひでか)次長は「原案に未公表情報はなく修正指示もない。著しく軽率だが、個人の問題」と原電側に事情を聴かないまま調査を終結させた。評価会合メンバーの鈴木康弘名古屋大教授は「報告書の内容への影響はないが、誤解を与える恐れがある」と語った。 規制委の有識者による評価会合は昨年12月10日、敦賀原発2号機直下を通る断層を「活断層の可能性が高い」と認定。廃炉の公算が大きくなっている。1月28日に議論を文書化した報告書案を示した。【岡田英】
原子力規制庁。旧保安院の看板をつけかえただけであることが暴露された。民主政権が指名した田中委員長の国会同意人事が自民党「原発事故戦犯」内閣のもとで承認される動きは、田中氏が原子力ムラの住民であることの証明だろう。恥知らずなひとびと。
— 上野千鶴子さん (@ueno_wan) 2013年2月6日
【組織の問題1】田中俊一原子力規制委員長は、原子力規制庁の名雪元審議官が日本原電に活断層評価を事前に漏らしていた問題について、「組織の問題というより個人の考え違い」とした。まさに癒着しても責任を問われない―これこそが「組織の問題」です。goo.gl/9Fw63
— 金子勝さん (@masaru_kaneko) 2013年2月6日
【組織の問題2】規制庁は、専門性と責任性を保つためノーリターン・ルール(出身官庁に戻れない)を基本とするはずだった。これでは、いくら電気事業者と癒着してもこの程度の「処分」で出身官庁に戻れることになる。原子力不安院と何も変わっていない。原子力規制庁は「すでに死んでいる」。
— 金子勝さん (@masaru_kaneko) 2013年2月6日
時事ドットコム
委員長「個人の考え違い」=元審議官の報告書漏えい-規制委
日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の活断層調査をめぐり、原子力規制庁の名雪哲夫元審議官(54)=1日付で更迭=が日本原電幹部に公表前の報告書案を手渡した問題について、原子力規制委員会の田中俊一委員長は6日の定例記者会見で、「組織の問題というより、今の時点では個人の考え違いがあったと思っている」と述べた。
規制委が1日に問題を公表した際、会見した規制庁の森本英香次長も「審議官個人の問題」との認識を示していた。一方、6日午前の規制委の定例会合では、活断層調査を担当した島崎邦彦委員長代理から「個人の問題ではなく、組織全体に隙があったのでは」との発言があった。
田中委員長は元審議官から直接釈明を聞いたとした上で「話を聞くと、どうもそういうこと(個人の問題)だ」と説明。「組織としてはルールの見直しで対応すべきだ」と述べた。(2013/02/06-19:06)
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