2013年10月26日土曜日

「特定秘密保護法は民主政治の根幹を否定する法律である。法案をもう一度読み、その危険性をかみしめて廃案にするよう、すべての国会議員に求める。」(信毎Web)

信毎Web
秘密法国会へ 議会政治が危うくなる
10月26日(土)

 国会と国会議員の見識が問われる法案の審議が間もなく始まる。安倍晋三内閣が衆院に提出した特定秘密保護法案である。

 政府が自分の判断で情報を秘密指定し、国民の目から隠すことができるようにする法案だ。社説ではその問題点を繰り返し指摘し、反対してきた。

 ここでは秘密法が国会と国会議員の役割を否定しかねない危険性をもつことについて論じたい。

 法案によれば、政府がある情報を秘密指定すると基本的には国会議員に対しても秘匿される。議員が説明を要求できる場は国会の秘密会に限られる(10条)。そこで聞いた話をほかに漏らすと最高5年の懲役になる(22条)。

 情報を秘密指定する権限は「行政機関の長」にある。具体的には防衛相や外相、警察庁長官らだ。大臣は内閣改造で入れ替わる。実際の場面で指定に影響力を振るうのは官僚になるだろう。

 この仕組みでは、官僚が知られては困る情報を政治家の目から隠すことも可能になる。議員が秘密会で聞いた内容について問題と思っても、党に持ち帰って議論することさえできなくなる。担当大臣やその経験者が漏らした場合にも最高10年の懲役だ(22条)。

 これでは国会は死んでしまう。議会政治の否定になる。

 情報を国民の手の届かない場所にしまい込み、国会での議論も封じて、一部の政治家、官僚だけで政策を進める―。まるで、戦争へ突き進んだかつての時代への逆戻りではないか

 1985年、中曽根内閣のときに、最高刑を死刑とするスパイ防止法(国家秘密法)案が国会に提出された。特定秘密保護法とよく似た法律である。

 スパイ防止法案は最終的には廃案となった。成立しなかったのは世論の反対に加えて、自民党内の慎重論も大きかった。

 自民党内からは今回、異論はあまり聞こえてこない。安倍首相にすり寄っているかのようだ。

 公明党は法案に「国民の知る権利」を盛り込むのと引き換えに、賛成する姿勢を打ち出した。こんな小手先の修正でどうして容認できるのか、分からない。

 民主党の対応はいまだにはっきりしない。反対姿勢を明快に打ち出しているのは共産党、社民党など一部にとどまる。

 特定秘密保護法は民主政治の根幹を否定する法律である。法案をもう一度読み、その危険性をかみしめて廃案にするよう、すべての国会議員に求める。


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