ハフィントンポスト
熊谷徹 在独ジャーナリスト(元NHKワシントン特派員)
敗戦から70年・メルケルの誓い
投稿日: 2015年02月09日 17時00分 JST 更新: 5時間前
日本では安倍首相の「戦後70年談話」の内容がどうなるのかについて、様々な議論が行われている。
日本と同じ敗戦国ドイツの首相は、この節目の年にどのような言葉を発するのだろうか。
2015年1月26日、ベルリン。肌を刺す寒気の中、私はシェーネベルク区のウラニアという公会堂に向かっていた。今年1月27日は、ナチスのアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所をソ連軍が解放してから、ちょうど70年目にあたる。この日を前に、ナチスによる虐殺の犠牲者を追悼する式典がベルリンで行われたのだ。
(略)
■恥の気持ちを告白したメルケル
公会堂を埋めた人々は、ファヒーディ氏が語り終わると、席を立って長い間拍手を送った。この後、黒いスーツに身を包んだアンゲラ・メルケル首相が演壇に立った。
メルケル氏は「ナチス・ドイツは、ユダヤ人らに対する虐殺によって、人間の文明を否定しましたが、アウシュビッツはその象徴です。私たちドイツ人は、恥の気持ちでいっぱいです。なぜならば、何百万人もの人々を殺害したり、その犯罪を見て見ぬふりをしたのは、ドイツ人だったからです」と述べ、ドイツ人がナチスの時代に大きな罪を背負った点を強調した。
そして会場の最前列に座ったトゥルスキ氏とファヒーディ氏をじっと見つめながら、「お二人は、渾身の力を振り絞って、収容所でのつらい体験を語ってくれました。そのことに心から感謝したいと思います。なぜならば、私たちドイツ人は、過去を忘れてはならないからです。私たちは、数百万人の犠牲者のために、過去を記憶していく責任があります」と語り、自国民が過去に行った犯罪を心に刻むことの重要性を指摘した。
さらにメルケル氏は、ドイツで頭をもたげつつある反ユダヤ主義を厳しく糾弾した。「今日ドイツに住む10万人のユダヤ人の中には、侮辱されたり暴力を振るわれたりした経験を持つ人が増えています。これはドイツの恥です。我々は、反ユダヤ主義、そしていかなる形の差別、排外主義に毅然として対抗しなくてはなりません」。
(後略)
0 件のコメント:
コメントを投稿