神奈川新聞 【照明灯】安倍話法
2015.02.13 10:00:00
国会の質疑を聞きながら、首をかしげることがたびたびある。野党の質問と安倍晋三首相の答弁がかみ合わない。首相が質問に正面から答えず、時には長々と持論を展開する
▼先日の参院予算委。「イスラム国」による邦人人質事件に関し、エジプト・カイロで「イスラム国と戦う周辺国への支援」を表明した演説が過激派を刺激したのではないかと問われた。2人が人質になっているのを把握していた状況で、言葉への配慮は十分だったのかとの指摘だった
▼語気を荒らげた首相は「テロリストの思いを忖度して気を配る必要はない」と繰り返した。「テロに屈しない」の一点張りで異論を受け付けないとすれば議論の深まるはずがない。昨年の集団的自衛権をめぐる論戦でも質問者をけむに巻くような答弁が目に付き、「安倍話法」などと呼ばれた
▼首相が施政方針演説を行った。憲法改正や集団的自衛権の行使容認といった、これまで推進に意欲を示してきた分野で具体的な踏み込みを避けたのはなぜだろうか
▼怖いもののない「1強」状態にあるのだから、堂々と議論すればいい。戦後70年の首相談話や原発再稼働など、丁寧に説明責任を果たすべき問題は他にもある。安倍話法を改め、質問には正面切って答えてほしい。
【神奈川新聞】
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