2013年10月3日木曜日

“痛恨の一撃”消費税増税が日本経済に与える深刻ダメージ (ゲンダイネット)

ゲンダイネット
“痛恨の一撃”消費税増税が日本経済に与える深刻ダメージ
2013年10月2日 掲載

「熟慮したうえでの私の結論だ」――と予定通り、消費税増税を実施すると安倍首相が発表した。来年4月から消費税率は8%に引き上げられる。再来年10月には、10%にアップされる予定だ。

 これで日本経済が、再び深刻なデフレ不況に逆戻りするのは確実である。国民はあまりピンときていないようだが、消費税増税の破壊力はとてつもない。

 そもそも、日本経済がデフレ不況に陥ったのも、97年に消費税率を3%から5%に引き上げたのが原因である。あれ以来、日本経済は15年間もデフレに苦しみつづけている。厚労省の統計によると、労働者の平均賃金は、97年度の446万円をピークに12年度は377万円へと、70万円もダウンしている。

 恐ろしいのは、今回の消費税増税が与える打撃は、97年の比じゃないことだ。

「97年の日本経済は、バブルは崩壊していたが、まだ体力がありました。しかし、いま日本経済は15年間もデフレ不況が続き疲弊している。雇用は壊れ、労働者の約4割は非正規雇用です。貯蓄なし世帯は約30%に達している。消費税8%は、8兆円の大増税です。瀕死の状態なのに、8兆円もの大衆増税を実施したら、とても日本経済は耐えられない。大不況に陥るのは目に見えています」(筑波大名誉教授・小林弥六氏=経済学)

<再び自殺者が増加する恐れも>

 消費税率が8%、10%となったら、国民生活はどうなってしまうのか。

 政府の「経済諮問会議」がまとめた資料によると、消費税率が8%にアップすると、国民1人当たり年間5万円の負担増になるそうだ。4人家族だと20万円である。ただでさえモノの値段が上がり、国民はカツカツの生活を強いられているのに、20万円も国家に吸い上げられたら、立ち行かなくなる世帯が続出しかねない。

 庶民の生活が苦しくなれば、モノは売れなくなり、ますますデフレは悪化していく。デフレ脱却は遠のくばかりだ。

 もっと苦しいのは、中小企業である。経済ジャーナリストの荻原博子氏が言う。

「消費税率が引き上げられても、中小企業は簡単に価格に転嫁できないと思う。いま105円で売っている商品は、引き続き105円で売るようになるのではないか。価格競争が激しいために、値上げすると売れないからです。結局、消費税アップ分は、自分で負担するしかなくなるでしょう。でも、中小企業は経営が苦しい。負担することに耐えられるのか。泣く泣く従業員の給与を下げたり、倒産に追い込まれる企業も出てくるでしょう。それがまたデフレを加速していくことになります」

 もともと、消費税は滞納額が年間4000億円と、国税のなかでも飛び抜けて滞納の多い税だ。消費者から預かったはいいが、経営が苦しくて使ってしまい、払いたくても払えない中小企業の経営者は予想以上に多い。97年に消費税をアップした時は、自殺者が急増し、初めて3万人を突破した。

 問題の多い消費税は、アメリカだって「導入すべきじゃない」と、いまも採用を見送っている欠陥税制である。デフレ不況下で税率をアップしたら、この国はそれこそ崩壊してしまう。





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