2014年6月16日月曜日

「民主主義冒さるるとき民として何人(なんびと)にも抗へとドイツ憲法」(フランス 松浦のぶこ)  『朝日歌壇』2014-06-16より

江戸城(皇居)二の丸庭園 2014-06-10
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『朝日俳壇』2014-06-16

大夕焼異国に逝きし児等のこと        (加古川市)森下史子

ヒロシマナガサキそしてフクシマ田水張る  (さぬき市)野崎憲子

憲法を怯へさせるな聖五月           (いわき市)馬目空

沖縄忌白砂は骨ではありませぬ        (東京都)野上卓

聖五月被爆マリアの海青し           (川口市)青柳悠

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『朝日歌壇』2014-06-16

轟音はじわりじわりと増えてゆきて基地への空路の真下に暮らす   (飯能市)高橋節子

民主主義冒さるるとき民として何人(なんびと)にも抗へとドイツ憲法      *1)
                                            (フランス)松浦のぶこ

真夜中の爆音すさまじ 厚木には占領軍がいまも居すわる       (相模原市)松並善光

「吉田調書」やはりてんでんこ逃げていた危険感じたその場にいた人
                                            (盛岡市)堀米公子

衝撃の吉田調書が明らかに特報なくば未だ知られず          (千葉市)鈴木一成

福島に住むなは天の声として他に住む人の永遠のご無事を      (福島市)山田毅

わが首長らは避難者側と対座する国の職員の横に並びて       (田村市)久住秀司

巨き輪を内から外(と)へと越せばまた同心円の続くふくしま       (福島市)青木崇郎

使用済み燃料棒は釜の外プールで白む「五重の防御」          (宇部市)崎田修平

ヌメア沖の海深く潜水艦と舵取る父は今も海なり              (松戸市)三宅安子

碩学と言われし人の卒寿過ぎなお投稿す反戦の歌            (八王子市)栗原文夫


*1)選者(永田和宏さん)評
ナチズムの台頭による第二次世界大戦の苦い経験から、自由と民主主義を防衛する義務を課したのがドイツ憲法の精神。
政府が憲法と国民に背いた場合、抵抗権を発揮できる。
松浦さんは今の日本にその精神をと訴える。

ご参考
東京 江戸城(皇居)東御苑の花菖蒲が見ごろ 2014-06-17




1 件のコメント:

松浦のぶこ さんのコメント...

松浦のぶこです。このブログに拙歌を引用して下さりありがとうございます。6月16日の朝日歌壇に永田和宏の選で掲載された拙歌は原作の字句を承諾なしに改変してあることをお知らせします。原作は「民主主義冒さるるとき民として国に抗へとドイツ憲法」ですが、「国に抗へ」を「何人にも抗へ」と改変されています。問い合わせたところ「憲法条文がそうであるから添削した」とのことでした。公表された作品が原作と違うことはあるのでしょうか。年鑑に掲載するときは原作どおりであってほしいと思います。詳しくはブログ『松浦のぶこの家』をお読みいただければ幸いです。