公明の主張、反映されず 進む与党協議 執行部へ不満噴出
2014年6月26日 朝刊
武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認に関する与党協議は、公明党の当初の主張がことごとく反映されないまま進む。同党は政府が示した十五事例を一つずつ、個別に法制化まで合意していく方針だった。だが、実際には「解釈改憲」を含め、安全保障法制見直しの全体像を一括してまず閣議決定する流れとなり、個別の法整備は後回しになった。党所属議員には譲歩を繰り返しているように映り、二十五日の党会合では執行部への批判が相次いだ。 (生島章弘)
与党協議座長代理の北側一雄公明党副代表は五月二十日の初会合後、政府が示した事例を順を追って法制化していく考えを表明。解釈改憲を閣議決定したうえで個別法整備に取り組むという自民党の主張を突っぱねた。
ところが、座長の高村正彦自民党副総裁は六月早々、政府に閣議決定案を準備するよう指示。公明党は寝耳に水だったが、協議の加速を求める安倍晋三首相に配慮して了承すると、集団的自衛権の議論は一気に本格化した。二十日の協議からは、行使を容認する場合の新たな三要件を中心とする閣議決定案の修正作業に入り、事例ごとの合意を先行させる選択肢は消えた。
二十五日午前の公明党の会合では、党の主張が与党協議に反映されていないことへの不満が噴出した。参院のベテラン議員は新三要件について「自国防衛のためといっても、歯止めが明確でない。過去の政府見解と整合性があるのか。支持者に説明がつかない」とかみついた。衆院の中堅議員は「集団的自衛権を行使すれば、戦争に巻き込まれるリスクが高まる。その覚悟が政治家にあるのか」と声を張り上げた。不満の背景には、日本近海で展開する米艦の防護や、米国に向かうミサイルの迎撃など集団的自衛権にかかわる八事例に関し、党がこだわっていた現実味や必要性の検討が不十分なことがある。
執行部には意見集約を図りたい意向もあったが、予定を一時間近く超えても結論は出ず、二十六日に仕切り直しすることになった。
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