2013年10月8日火曜日

ロイター ブログ:フクシマ被災者とサムライ (写真は福島県浪江町。住民が避難した後も、街灯が町を照らす)


ロイター
ブログ:フクシマ被災者とサムライ
2013年 10月 7日 12:45 JST
By Damir Sagolj

福島県飯舘村に住んでいた大久保文雄さんは、2011年の東日本大震災が発生して間もなくテレビで強制避難が通達されると、一番上等な服を身に付け、義理の娘が用意してくれた夕食を楽しんだ。

その翌朝、大久保さんは、ビニール袋をつなげて作ったひもで首を吊って亡くなっていた。当時102歳だった彼の最期は、古き時代のサムライの死に方を思い起こさせる。飯舘村で生まれ育った大久保さんは、他のどこでもない故郷の美しい村での死を選んだ。

大震災で何も失わなかった人々は、地震や津波の真の恐怖をすぐに忘れてしまいがちだ。しかし、福島県の数多くの不幸な人々にとっては、3月11日は悲痛な物語の幕開けであり、私にとってもこれまでで最も胸が痛む取材の1つとなった。

想像もできないことが起こった。福島が誇る原子力発電所が、怪物のような津波にやられ、いまだに収拾されない一連の災害を引き起こした。2年半以上たった今でも、福島はかつてないほど荒廃している。

震災で避難を余儀なくされた人は、いまだ30万人近い。街から人の姿が消え、生活は崩れ去った。人々はショックに打ちひしがれた。大久保さんを含めたわずかな人たちだけが、この事態が1週間で終わるようなものではないことを分かっていたのかもしれない。

(略)




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