2014年3月26日水曜日

東京五輪?あれは悪夢みたいだった 『銀座にはなぜ超高層ビルがないのか』と街づくり (福原 義春 日経BP)

日経BP
東京五輪?あれは悪夢みたいだった
『銀座にはなぜ超高層ビルがないのか』と街づくり
福原 義春 2014年3月17日(月)

(略)

それまで僕の家は白金の自然教育園に接していたので、まさかそんなに無謀な計画を立てるとは思えなかった。

有り得ないと思っていたのが甘かった

今は文部科学省の所管になって自然教育園になっているが、かつては松平讃岐守の下屋敷、それからは海軍火薬庫になったり、宮内庁の御用地になったりした武蔵野の面影を残す緑地であった。しかも古く中世豪族の邸跡とも伝えられ、それが故に白金長者の邸とも言われ、また目黒区中丸から品川区長者丸という豪族の居城の跡とも言われた。

その出城を連なる土塁には樹齢数百年のスダジイが並木になっていた。

また松平の下屋敷になっていた間に、そこに平賀源内が出入りし、そのせいかどうか、この辺には有り得ない珍しい植物が自生するように生えているのだった。

いくらオリンピックと言ったって、こんな珍しい東京の中の自然環境をめちゃくちゃにするなんて有り得ない、と思っていたのが甘かった。

オリンピックのための高速道路予定線は、この自然教育園のスダジイ並木の一部をかすめて私の家の上を斜めに通るのだ。

(略)

一つの例として、竹沢えり子『銀座にはなぜ超高層ビルがないのか まちがつくった地域のルール』(平凡社新書)が出た。

欧州の街並みは例外なく高さが規制されて、しっとりとした景観を保っている所が多い。

銀座の街並みにバランスのとれた景色、来街者の回遊性を確保するため、そして銀座らしさを守るために銀座の商店主たちがどんな努力を払って来たか、中央区や東京都との協力関係をどう保って来たのかなどの動機やプロセスを細かに生き生きと述べた本だ。多分これから先には、どこの商店街にもますます求められる自治や運動のありかたに一つの指針を与えてくれるものと思う。


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