伊吹衆院議長、原発反対を公言 震災追悼式
厳粛かつ筋書き通りに行われていた11日の東日本大震災3周年追悼式に、不協和音が紛れ込んだように見えた。
議会で指導的な立場にある有力議員が式典中に、いわば「bully pulpit(権威ある公職)」を用いて、原発に終止符を、と呼び掛けたのだ。トップ級の与党関係者が公式の場で安倍晋三首相の政策にどうやら異議を唱えた珍しい例だ。
伊吹文明衆院議長は「われわれが電力の恩恵を享受する一方で、福島の人々にコストを負わせているように感じられる」という意味のことを述べた。同議長は国立劇場で行われた式典での追悼の辞で述べたものだ。3年前の3月11日、東北沿岸沖で発生した巨大地震とそれによって生じた巨大津波によって1万6000人近くが死亡、2500人以上が行方不明になり、世界最悪クラスの原子力災害が起こった。
30年の議員歴を持つ伊吹氏は、これまでに4度閣僚を経験し、自民党の幹事長を務めていたこともある。同氏は衆院議長という現在の立場から、式辞を述べる8人の1人となり、安倍首相と天皇に続いて3番目に追悼の辞を述べた。
伊吹議長は花で飾られた祭壇を前に、日本の科学技術の進歩への称賛が「人間が自然を支配できるというおごり」を生じさせたことを嘆いた。そして「将来の脱原発を見据えて」エネルギー政策を議論していくと述べ、短い式辞を締めくくった。
共同通信によれば、安倍首相は原子力への依存を「できる限り」軽減するよう求めており、10日の国会審議でも実際にそう述べている。ただし、首相は原子力が必要だと考えている点も強調し、福島第1原発事故後に稼働を中止している原発の再稼働を押し進めようとしている。首相自身は式辞の中で、原発事故による避難者の苦悩が続いていることを認識したものの、エネルギー政策には触れなかった。
自民党に関わる大物で脱原発の考えを表明したのは、伊吹議長だけではない。安倍首相のかつての師でもある小泉純一郎元首相は脱原発の熱心な擁護者となり、最近行われた東京都知事選では、原発に反対する候補者の選挙活動を先導した。だが、都知事選で小泉氏の推す候補者が敗れたことで、脱原発運動の勢いは幾分なくなったように見えていた。
伊吹氏の側近によれば、伊吹氏が公の場でそのような発言をしたのは今回が初めてと同氏事務所はみているという。
【New!】伊吹文明・衆議院議長「脱原発に舵を切った」 Facebookでも明言 http://t.co/dvDlcVsV16
— ハフィントンポスト日本版 (@HuffPostJapan) 2014, 3月 12
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