2014年5月4日日曜日

傑作マンガ『ギャングース』制作者が明かす「知らないとカモられる犯罪手口」 (現代ビジネス)

現代ビジネス2014年05月04日(日) 
経済の死角
傑作マンガ『ギャングース』制作者が明かす「知らないとカモられる犯罪手口」

〈この漫画は実話を基にしたフィクションです。ただし犯罪の手口はすべて実在しますので、ぜひ防犯に役立てて下さい〉

最新の犯罪手口について語る鈴木氏。昨年11月22日には、振り込め詐欺10年の興亡を追った『振り込め犯罪結社』(宝島社)を上梓した
毎回、こんなフレコミで始まるマンガ『ギャングース』(講談社『モーニング』で連載中)が大人気だ。職ナシ、学ナシ、犯罪歴アリのカズキ、サイケ、タケオの3人組が、振り込め詐欺集団や建築資材窃盗団、脱法ハーブ屋など半グレ犯罪集団の売り上げを次々と盗んでいく。その痛快なストーリーは、すべて実際の犯罪手口にもとづくもの。その原案を作っているのが、同作のストーリー共同制作者、鈴木大介氏だ。

鈴木氏は長年にわたり“犯罪をする側の論理”をテーマに、裏社会や触法少年少女らへの取材活動を続けてきたノンフィクションライターでもある。加害者の心理を知り尽くした同氏に、イマドキの犯罪集団にカモられないための対抗手段を聞いていこう。

(略)

・・・ヤクザは、『子が親を食わせ、親が子を食わす』という互助扶養組織です。下を切って本丸が残るのは、ヤクザの美学としてアウトなんです。

関東連合で振り込め詐欺をやっていた人間もいましたが、彼らは振り込め詐欺業界では二流と見られていた。ヤクザと同じく、関東連合も部下の後輩をドライに切り捨てることができないからです」(鈴木氏)

(略)

「振り込め詐欺に限らず、高齢者をターゲットにした手口は詐欺業界のトレンドなんです。ダイヤモンドの買え買え詐欺(価値が極めて低いダイヤを高額で購入させる詐欺)も被害者が高齢であることが多い。高齢者はいちいち銀行に行くのが面倒なので、自宅に現金を置いておくことが多いうえ、一度外出すると長時間帰ってこないので、『ノビ』(侵入盗)からも狙われやすいんです」

(略)

「社債詐欺や未公開株詐欺のときに使うトークの導入にオリンピックを持ってくるんですね。’00年代中盤に、証券会社が抱き合わせなどで売っていた未公開株がブームになりましたよね。そのとき未公開株を購入した人の名簿が流出している。その名簿をもとに電話をかけ、『オリンピックの開催が決まって株価がものすごく上がりました。当社で買い取らせてほしいので、保証金を入金してください』とやるわけですよ。


団塊世代をハメるために、プレジデントで送迎。高精度の名簿があるからこそ可能になる手口
40年ほど前にハヤった原野商法(価値のない山林を売りつける詐欺)に引っかかった人の名簿も流出しています。『購入された土地が再開発されて、値段が上がりました』と持ちかけ、『ただ、面積を出さないといけないので測量しなければなりません』とか、『買い取るので木の伐採費用を』とか言って、整地代や測量費名目でカネをダマし取るんです」

(略)

「僕は不良というのは“可視化されていない社会的弱者”だと思っています。犯罪に走る人間の多くが幼少時の虐待や貧困を経験している。本当の防犯というのは、元凶になっている貧困をなくしていくことでしょう。防犯といえば『家のカギをかけること』というのは少し違うと思っています」

ギャングースで犯罪手口を学びつつ、社会の底辺で生き抜こうとする少年たちの息づかいを感じてもらいたい。

『FRIDAY』2013年12月20日号より







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