2017年9月7日木曜日

「魂鎮めでなく、魂起こし」(栗原彬) (鷲田清一『朝日新聞』折々のことば2017-09-01)

魂鎮めでなく、魂起こし
栗原彬

「海からの大量殺戮(ジェノサイド)」ともいうべき水俣病の東京展(1996年)に寄せて、政治社会学者はこう書いた。
水俣病が国・企業や同時代人に突きつけた問いは、「賠償」や「和解」で済むものではない。「患者」一般ではなく、受難者一人ひとりの遺影を前にして、官庁や企業の人も個々に名をもっ人に戻ってゆく、そうした次元でしか魂の救済には届かないと。
『「存在の現れ」の政治』から。

(鷲田清一『朝日新聞』折々のことば2017-09-01)


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