2019年1月7日月曜日

「その上にきみのいひたることばこそおもひふかけれのこしてきえしは」(岸信介死去に際し昭和天皇が詠んだ歌);「昭和天皇は、岸首相の考えを「おもひふかけれ」と評価し、深く思いを寄せていたのかと複雑な気持ちにとらわれる。」(半藤一利)   

注目したのは、日米安保条約改定を実現した岸信介首相(当時)の死去に際し詠んだ歌だ。

その上にきみのいひたることばこそおもひふかけれのこしてきえしは

天皇自身の注釈として「言葉は聲なき聲のことなり」とある。
安保改定が国論を二分し、国会がデモ隊に包囲される状況の中で岸首相が語った「いま屈したら日本は非常な危機に陥る。私は『声なき声』にも耳を傾けなければならぬ」を思い起こさせる。
デモ参加者の声ばかりが国民の声ではない、という意味だ。
昭和天皇が記した「聲なき聲」という注釈と歌を合わせると、昭和天皇は、岸首相の考えを「おもひふかけれ」と評価し、深く思いを寄せていたのかと複雑な気持ちにとらわれる。
作家 半藤一利さん(88)
『朝日新聞』2019-01-01


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