毎日新聞
大阪市立小:公募校長、休み過ぎで更迭…4月以降勤務6日
毎日新聞 2014年05月21日 00時11分(最終更新 05月21日 10時49分)
全国公募で民間から採用された大阪市立小学校の男性校長(51)がPTA会費を持ち出すなど、ずさんな現金管理をしたとして内部調査を受けていた問題で、市教委は20日、この校長を更迭する方針を固めた。山本晋次教育長はこの日の市議会で「校長が長期間、休んでいて、著しく校務に支障が出ている」と説明した。大阪市の民間人公募校長の更迭は2人目。
市教委によると、校長は春休みの今年3月下旬から休みがちになり、4月以降、病気などを理由に有給休暇を取り続けた。今年度になってから今月19日までの勤務すべき32日のうち、通常勤務をしたのは6日。残りは有給で休んだり、時間休を取ったりし、今年度の有給20日は既にほぼ消化したという。
市教委は校長に診断書や病気治療計画の提出を求めたが、校長は「出す」と答えながら提出しなかった。同校は、校長不在のため、今年度の教育計画の策定や保護者や地域の意見を聴く「学校協議会」が開催できないなど支障が出ているとしている。市教委は校長の職務の重要性から更迭を決めた。
市教委は早ければ5月中に後任を着任させるが、この校長が、校内保管されていたPTA会費約10万円を校外に持ち出した問題などについては今後も調査を続ける。
この校長は昨年6月、保護者らに虚偽のアンケート調査を実施したとして、市教委から注意を受けた。【寺岡俊】
◇止まらぬ不祥事…更迭2人目
大阪市の公募校長は、昨年春以降、セクハラや職場離脱、教職員とのトラブルで市教委に処分などを受けたケースや、着任から間がないのに自主退職をしたケースなど問題が相次いでいる。更迭された公募校長もこれで2人目となった。校長公募は元々、橋下徹市長(大阪維新の会代表)の公約でもあり、市は来年度に採用する公募校長の研修関連経費約2800万円を開会中の市議会に提案した補正予算案に計上。しかし野党会派の反発は強く、今回の更迭は議会審議に影響を与えそうだ。
今月13日の市議会一般質問で、橋下市長は「採用を厳格化し、いい人材を採用することに力を尽くす」と公募の継続に意欲を見せた。一方、自民市議は「公募校長は不祥事が後を絶たず、信頼を失っている。制度を凍結し、来年度の実施は見送るべきだ」と指摘。公明市議も「制度を厳しく見直す必要がある」と批判した。
市は今月8日、「公募制度のあり方検討プロジェクトチーム会議」で「適格性を欠く人材は解任する」とした基本方針を決定するなど制度の改善を進めている。この日の市議会で市教委は、「新しい考え方に沿ったリーディングケース(先例)として厳正に対処したい」と校長の更迭を表明した。
市教委によると、予算案が認められれば6月に募集要項を発表し、7月には募集を始める予定。しかし、市教委幹部は「予算が可決されなければ、今回の公募はできないのではないか」と不安を口にした。【寺岡俊】
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