東京新聞
国民より米軍支援主眼 限定行使に疑問
2014年5月27日 夕刊
<解説> 政府が与党協議に提示した安全保障法制見直しに関する十五事例のうち、集団的自衛権の行使にかかわるものは半数超の八事例を占めた。憲法解釈の見直しで集団的自衛権の行使を容認したい安倍晋三首相の意向が色濃く反映された。
しかも、八事例のうち、半数の四事例は「米艦防護」が並んだ。安倍首相は今月十五日に解釈改憲の検討を表明した際、「国民の命と暮らしを守る法整備がこれまでの憲法解釈で十分にできるのか」と国民の安全を強調した。しかし、事例を見る限り、解釈改憲は国民の安全というより、米軍を支援する自衛隊活動の強化が主眼とみえる。
米艦防護の中には、首相が十五日の会見でパネルで示した「邦人輸送中の米輸送艦防護」も含まれる。残りの事例には米本土が攻撃を受け、日本近海で作戦行動中の米艦防護まで含まれた。米国の戦争に日本が加わるもので、これが日本の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある事態かどうか、判然としない。米艦防護のほか、停船検査も米国からの要請が前提。米国に向かう弾道ミサイル迎撃も含めると、行使容認にかかわる八事例のうち六事例が米軍支援となる。
首相は集団的自衛権に関し「限定的な行使」を検討すると表明したはずだった。だが、提示された事例では限定行使となるのかどうかも疑問が残る。 (吉田昌平)
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