2014年06月03日(火曜日)
読売新聞、半年で約52万部減、紙新聞の未来を象徴する数字
2014年06月03日(火曜日)
このところ新聞の発行部数の減少がいちじるしい。2日付けMEDIA KOKUSYOでは、読売のABC部数が、3月から4月にかけて約20万部も減ったことを伝えた。新聞の急激な減部数に関して、補足しておこう。
次に示すのは、2013年11月と2014年4月における読売と朝日のABC部数である。
【読売】
2013年11月:10,007,440
2014年4月 : 9,485,286
(約52万部減)
【朝日】
2013年11月: 7,527,474
2014年4月 : 7,441,335
(約9万部減)
読売の場合は、半年のあいだに約52万部の減部数、あるいは52万人の読者を失っているのだ。この数字がいかに大きいかは、たとえば神戸新聞のABC(2014年4月)が約58万部、京都新聞が約49万部、神奈川新聞が約20万部、山陽新聞が約42万部であることを考慮すると分かりやすい。
読売の読者離れがどこまで続くのか分からないが、世界最大の発行部数を誇る新聞社の急激な低落傾向は、紙新聞の未来像を物語っている。
◇なぜ、紙の新聞は限界なのか
紙の新聞には次のような決定的な弱味がある。
①紙面のスペースが限定されているために、情報量に制限がある。たとえば裁判の判決を報じる際に、紙新聞では判決の要旨しか掲載できない。これに対して、ウエブサイトでは、要旨と同時に判決の全文を掲載できる。法律の専門家が求めているのが、後者の報道スタイルであることは言うまでもない。
②記者会見をもとにした記事が大半を占め、調査報道が少ない。
③速報性でもウエブサイトには太刀打ちできない。
わたしは将来的に生き残る文字メディアは、ウエブサイトと書籍だと予測している。ウエブサイトは速報性が強み。これに対して書籍は、深く考察するためのメディアとなる。改めて言うまでもなく、ジャーナリズムの本道は書籍である。
讀賣の部数減の原因は何か、今ごろ論説委員たちは論調をどう変えるべきかを議論をしているはずです。ただ、社説の整合性を考えたらいまさら安倍政権支持の旗を下ろすことはできません。政治記事はいじらず、他の紙面を「もっと魅力的に」というあたりが結論の落としどころでしょう。
— 内田樹 (@levinassien) 2014, 6月 3
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