「短期的には米賃金上昇を阻み、米利上げを先送りさせる作用として働くだろう」 ──コラム:FRB議長が格差拡大を警告、利上げシナリオに修正も
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— ロイター.co.jp (@Reuters_co_jp) 2014, 10月 24
コラム:FRB議長が格差拡大を警告、利上げシナリオに修正も
2014年 10月 24日 12:27
[東京 24日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が、米国で進行している所得格差に強い警鐘を鳴らしている。その背後には、格差拡大が中間層を没落させ、米経済の活力を奪うとの分析がありそうだ。短期的には賃金上昇を阻み、米利上げを先送りさせる作用として働くだろう。
米利上げとドル高を前提にしたシナリオは、大幅な修正を迫られる可能性がある。
<格差拡大は賃金上昇頭打ちに波及>
イエレン議長は今月17日の講演で、所得や富の格差拡大について、非常に憂慮しているとの見解を示した。
具体的には過去数十年にわたって「富裕層の所得や富が著しく増大する一方、大半の所得層では生活水準が低迷している状態と言える。このことは明白だ」「米国民が伝統的に重きを置いてきた機会の均等に照らして、どうなのかと問うことが適切だ」と述べた。
FRBが9月に公表した調査によると、米国の所得格差は金融危機で拡大し、富は上位3%の富裕者に集中しているという。
イエレン議長は、ここまでしか具体的に指摘しなかったが、上位数パーセントの富裕者がより金持ちになるということは、20世紀以降の米国繁栄の原動力だった「中間層」が没落の道を歩んでいるということでもある。
分厚い中間層が、米経済や社会の活力の源泉だった。だが、エンジンが止まりかけている。イエレン議長は、その点にも言及し、最近の米国では起業が難しくなっており、実際にビジネスに参入しても、大半は数年で撤退を余儀なくされているとも指摘。こうした点が、米経済での成功を難しくさせている面があるとの見方を示した。
格差の拡大は、最近の賃金上昇伸び悩みにも、影響していると指摘したい。米労働省が発表している賃金は、このところ失業率が低下しているにもかかわらず、横ばい傾向を鮮明にしている。
かつてのように中間層が健在であれば、失業率の低下とともに時間当たり賃金が上がり出し、個人消費の目立った増加へとつながっていったはずだ。
言い換えれば、格差の拡大と中間層のやせ細りが、米金融政策にも大きな影を落としているということだろう。
(略)
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