貧困の反対は富ではなく
健康は、失われるまで、そのありがたさがわからない。
平穏な日常も、あえて守ろうとは、なかなかならない。
では・・・・・と話を進めるのがノーマ・フィールド著『いま、〈平和〉を本気で語るには 命・自由・歴史』(岩波ブックレット・562円)だ。
著者は、米国在住の日本文学研究者。
沖縄の元ひめゆり学徒と若者たちとの対話の記録から、どんな言葉が必要かを模索し、「安易な優しさ」を避けねばならないことを読みとる。
過労死と不登校の意味、福島の原発事故後の「復興・分断・沈黙」、「従軍慰安婦」問題にも向きあう。
そして、自ら「飛躍」といいつつ、「貧困の反対は富ではなく、正義だ」という、神学者レオナルド・ボブの言葉を引く。
貧困の克服には、富を再分配するだけでなく本質的な価値観の転換が必要だという。
そこから「戦争の反対は平和ではなく、正義である」「『絶望』の反対は『希望』ではなく、むしろ『抵抗』では」と考えていく。
著書『天皇の逝く国で』からら『小林多喜二』を経た、彼女の今が凝縮された一冊だ。 (石田祐樹)
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