2012年11月24日土曜日

日本で広まる中国脅威論と台頭する極右 自民党の極端な公約にも声を上げず(朝鮮日報)

朝鮮日報
記事入力 : 2012/11/23 09:07
日本で広まる中国脅威論と台頭する極右

自民党の極端な公約にも声を上げず…
日本国民に変化 

 「中国領事館の建物設置に決死反対」。新潟市では、中国領事館の建設に反対する集会や街頭での署名運動がひんぱんに行われている。領事館建設に反対する各市民団体は、中国の新しい領事館がスパイ活動の拠点として利用されるなど、安全保障上の問題になりかねないと主張している。また日本の各地方自治体は、先を争うように外国人の土地取引規制条例を作っている。中国が、自国の水が汚染されていることを受け、水資源を奪うため日本国内の森林地帯で土地を大挙購入しているというニュースが広まったことから、こうした措置が取られた。

 中国脅威論が日本社会に深く浸透する中で、外国人には理解しにくい騒動があちこちで起こっている。来月16日の総選挙で政権獲得が有力視されている自民党は公約の中で、憲法を改正し軍隊を保有すると堂々と主張しているが、その背景にも「中国脅威論」がある。尖閣諸島(中国名:釣魚島)の領有権をめぐり中国と対立する中で、日本を守るためには集団的自衛権・軍隊の保有が必要だという認識が急速に広まっているわけだ。

■対中認識、80年前に逆戻り

 東京新聞が最近、軍隊の保有を禁じる憲法第9条の改正が必要かどうかを問う世論調査を行ったところ、賛成は46.2%で反対(35.1%)を上回った。2010年5月に朝日新聞が行った同様の調査では、改正反対が67%、賛成は24%だった。早稲田大学の劉傑教授は「中国のイメージはよくないと答える日本人の比率は80%にまで跳ね上がり、これは1931年の満州事変当時と同じ水準」と語った。

 自民党が軍備拡張と集団的自衛権導入を公約に掲げたことに対し、かつて改憲論などに強く反対していた朝日新聞や毎日新聞なども、ほとんど批判を行っていない。
あるメディア関係者は「中国との対立が深刻化する中で『少なくとも集団的自衛権くらいは必要ではないか』という認識が広まっている」と語った。

 極右政治家が台頭する背景には、ゆがんだ歴史教育を受けてきた戦後世代が人口の大多数を占めているという状況もある。若者たちは「生まれる前に起こったことで、なぜ自分たちが責任を取らなければならないのか」と話している。

■極右があふれる状況に、極右すら懸念

 このところ日本で人気を集めている政治家の安倍晋三・自民党総裁、石原慎太郎・東京都知事、橋下徹・大阪市長がそろって極右的な主張を行っていることに対し、極右派自体も懸念しているほどだ。日本を代表する右翼団体の一つ、一水会の鈴木邦男顧問は、朝日新聞のインタビューに対し「いま右翼的な主張をしている人は、天敵がいなくなった動物みたいなもの。もしかすると(社会の)生態系が破壊されかねない」「極右は社会の一部分であってこそ意味があり、社会全体がそうなったら混乱する」と語った。

■19世紀の脱亜論に回帰する知識人

 著名な経済学者の渡辺利夫氏は著書『新脱亜論』の中で、現在の日本の安全保障環境は日清・日露戦争前夜に似ていると主張した。渡辺氏は、日本が生き残るためには19世紀末のように東アジアから脱皮し、米国など海洋勢力との同盟強化が必要だと主張した。1885年に『脱亜論』で、隣の「悪友」中国・朝鮮との関係を断ち、アジアから脱しようと語った福沢諭吉の主張とそっくりだ。極右的知識人は、時には「日本は輸出の比重が高くないため、中国への輸出を断絶しても打撃は受けない」とまで主張している。しかし、日本の対中輸出依存度は20%を超え、中国は最大の輸出相手国だ。

 一方、極右政治家の代表格に当たる石原慎太郎「日本維新の会」代表(80)は21日「(日本は)シナ(中国)になめられ、アメリカの『めかけ』に甘んじてきた」と語ったという。22日に日本のメディアが報じた。

 シナ(支那)とは、中国を蔑視する表現だ。石原代表が「日本は米国の『めかけ』」と語ったのは、米国が日本占領期に作った平和憲法のために、日本が軍隊も核兵器も保有できいないことに対する不満の表明だ。

東京= 車学峰(チャ・ハクポン)特派員

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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