知る権利は?国の情報公開は? 秘密保護法、識者に聞く http://t.co/hRmJBSmAqe
— 朝日新聞(asahi shimbun) (@asahi) October 25, 2013
知る権利は?国の情報公開は? 秘密保護法、識者に聞く
2013年10月25日22時50分
「知る権利」は守られるのか。国の隠し事が際限なく増えないか――。さまざまな懸念が指摘される中、特定秘密保護法案が25日、閣議決定された。情報の公開と国家の機密。社会生活と密接にかかわる問題を正面から問う法案について、識者に聞いた。
■うそつき政権に、法案出す資格なし
戦後の半世紀、日本では民衆のなかから国の公的で正確な情報を欲する動きが弱かった。2001年に施行された情報公開法には「知る権利」がなく、それを明記した改正案が廃案になった時も大きな問題にはならなかった。情報公開への意欲が他国よりもないように見える。
実際、秘密保護法にも関心ない人が多いでしょう。メディアも含めて、追及する力もない。あれだけ(沖縄にからむ)大量の密約が出来たのも、民衆が政府になめられているからです。
日本政府が守ろうとするのは、日米同盟を維持するための秘密です。核の問題も沖縄の密約も、みんな日米同盟。日米が軍事面で密接不可分な関係になればなるほど、憲法に抵触する問題が出てきます。
例えば、イラク戦争で航空自衛隊が米兵を運んでいたことが明るみに出ました。そんなことがばれるたび、違憲訴訟を起こされることを日本の政府は恐れているわけです。
法律が出来れば、5年ごとに「特定秘密」を更新できる。どんどん更新すれば不都合なものは一切出なくなる。批判を封じ込める完全な秘密国家ができ、行政による情報管理国家になる。日本の民主主義は建前ばかりで空洞化してしまう。
本当の秘密とは、外交交渉の結果のことを言います。だが、結果は正確に、完全に国民に知らされなくちゃならない。外交交渉の結果にうそをつけば、政治犯罪になるのです。
その意味で、沖縄密約は最高の政治犯罪といえます。東京地裁も東京高裁も認定したにもかかわらず、自民党政権はいまだに「密約はなかった」と言っている。国会でうそをつき続けている現政権に、法案を出す資格はないのです。
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にしやま・たきち 1931年生まれ。毎日新聞政治部記者として自民党、外務省などを担当。72年に沖縄返還密約に絡む取材で機密電文を外務省事務官に持ち出させたとして国家公務員法違反容疑で逮捕され、74年に退職。78年に有罪確定。著書に「沖縄密約―『情報犯罪』と日米同盟」「機密を開示せよ―裁かれる沖縄密約」(いずれも岩波書店)など。
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■検証機関の設置規定を
特定秘密保護法案について「特高(戦前・戦中の特別高等警察)が復活する」と言う人がいますが、イメージだけで決めつけないほうがいい。どんなメリットがあり、課題があるとしたら、どう克服できるのかを議論すべきです。
私の取材では、2001年に米国で起きた同時多発テロの直後、欧米諸国はいくつかの重要な情報を日本の首相官邸に伝えていなかった。日本に「機密漏れ」に厳しく対処するルールがなかったからです。特定秘密保護法で政府への信頼が増せば、テロの予兆など重要な情報が入ってきやすくなります。政府だけでなく国民の安全にもつながる。
ただ、米国では一つの文書でも秘密に指定する部分とそうでない部分を細かく分けている。指定しない部分は公開できる仕組みですが、これまでの日本は文書そのものを非公開にする傾向が強い。法案が成立すると、本来なら公開すべき情報も秘密に指定されるおそれがあります。
安全保障に関わる問題では、国民の過敏な反応を恐れた政府が情報を出さなくなる懸念もあります。こうしたことが起きないよう、法案に「情報の公開をめぐって問題が起きた場合は国会に検証機関を設ける」とする規定を盛り込む必要があるでしょう。
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あそう・いく 1960年、大阪府生まれ。政府の危機管理の欠点を指摘した小説「宣戦布告」がベストセラー。「ZERO」など警察組織を描いた作品も複数あり、「外事警察」はテレビドラマや映画にもなった。
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