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秘密保護法案:参院審議入り 「市民も処罰」懸念消えず
毎日新聞 2013年11月28日 06時00分(最終更新 11月28日 07時19分)
国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法案が、27日の参院本会議で審議入りした。特定秘密を知った民間人などに対する捜査・処罰の規定を巡り、衆院採決で賛成したみんなの党を含む野党側が一斉に拡大解釈の恐れを指摘。与党からも市民の情報収集活動に支障が出かねないとの苦言が出た。安倍晋三首相は「国民の基本的人権や報道の自由に十分配慮する」と強調したが、「知る権利」を行使する市民を萎縮させたり冤罪(えんざい)を招いたりするとの懸念は払拭(ふっしょく)されなかった。
「処罰対象になる行為があいまいだ」(民主・桜井充氏)「逮捕・起訴するだけで民間人や対抗する政治勢力への威圧になる」(みんな・真山勇一氏)。27日の参院本会議での質問は、民間人や報道記者の特定秘密の入手を巡る規定に集中した。詐欺、暴行、脅迫などの違法行為のほか、情報を保有する公務員の「管理を害する行為」に最高懲役10年▽情報漏えいの共謀やそそのかし、あおった場合は実際の漏えいがなくても最高懲役5年−−とする内容だ。
これに対し安倍首相は、人権侵害の防止や国民の「知る権利」に配慮する法案の努力規定を挙げ、「罪に問われる場合、(情報を)取得した人自らが特定秘密だと認識していなければならない」と説明。森雅子特定秘密保護法案担当相が衆院審議で述べた「一般人が特定秘密と知らずに情報を知ろうとしても一切処罰されない」との答弁を踏襲した。しかし、情報を取得した人が「特定秘密と知っていたかどうか」は捜査機関が個別に認定するもので、恣意(しい)的な運用につながる懸念が拭えない。
現行の国家公務員法や自衛隊法などは機密を漏らした公務員への処罰が主眼だが、特定秘密保護法案は漏えいした公務員に加え、情報を入手した側の民間人や報道機関まで広く処罰の「網」をかけるものだ。しかし、衆院審議では知る権利や情報公開の阻害、国策を巡る世論の萎縮といった問題についての議論は深まらず、自民、公明、みんな、日本維新の会の4党修正案もほとんど改善していない。
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