2013年9月3日火曜日

汚染水、公害処罰法に違反 東電社長ら刑事告発へ 福島県民 / 「想定外、もう許さない」 東電汚染水 福島の警察信じ告発 (東京新聞)

東京新聞
汚染水、公害処罰法に違反 東電社長ら刑事告発へ 福島県民    
2013年9月3日 朝刊

 東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民三人が三日、東電の広瀬直己社長ら幹部約三十人と法人としての同社について、汚染水管理のずさんさが大量の汚染水漏れにつながったとして、公害犯罪処罰法違反の容疑で福島県警に告発する。 

 告発するのは、原発事故で被ばくしたとして東電前会長らを業務上過失致死傷容疑などで告訴・告発した「福島原発告訴団」のメンバー。検察当局は昨年八月、ほかの市民団体の同様の告発などとともに受理し、東京、福島両地検が捜査している。

 今回告発するのは▽原子炉の冷却に使った水をためるタンクから漏れた高濃度汚染水約三百トン▽敷地内に流れ込んだ地下水が放射性物質に触れて一日約三百トン発生している汚染水-への東電の対応。

 告発では、タンクからの汚染水漏れについて「タンクは応急的に作られた。早期に丈夫なタンクを設置し、汚染水を移送する義務を怠った」と主張する予定。ずさんな監視体制や、汚染水を食い止める堰(せき)の排水弁を開けっ放しにしていた点も過失とみている。

 地下水の汚染については、東電が二〇一一年六月、1~4号機を取り囲む地中の遮水壁の建設を検討しながら放置したことが過失に当たると指摘。「対策費が一千億円レベルで、『債務超過に近づいた』と市場から厳しい評価を受けるのを恐れ、先送りを決めたのは過失」と批判する。

 政府や東電の試算によると、タンクからの汚染水漏れで、二四兆ベクレル相当の放射性物質を放出。国際的な原子力事故評価尺度による評価が、七段階のうち上から五番目の「レベル3」とされた。

 <公害犯罪処罰法> 正式名は「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」。事業活動に伴って公害を生じさせる行為を処罰することにより、公害防止を図るのが目的。水俣病やイタイイタイ病など深刻な公害被害の多発を背景に、1970年に成立した。故意犯に3年以下の懲役または300万円以下の罰金、過失犯には2年以下の懲役あるいは禁錮または200万円以下の罰金を規定。人を死傷させた場合、さらに厳しい罰則となる。法人または法人代表者らの両方を罰する両罰規定を置いている。


東京新聞
「想定外、もう許さない」 東電汚染水 福島の警察信じ告発    
2013年9月4日 朝刊

 「汚染水対策の失敗はまさに『想定内』。今度こそ『想定外』の言い訳は許されない」。東京電力福島第一原発の汚染水問題で、福島県民による福島原発告訴団が三日、広瀬直己社長ら東電幹部を公害犯罪処罰法違反容疑で福島県警に告発した。県民たちは真相解明の役割を、同じく原発事故の被害者でもある地元の警察官たちに託した。

 代理人の河合弘之弁護士は東京都内で会見し「安全よりお金を優先して原発事故を起こした東電の体質や構造は、事故後もまったく変わっていない」と批判した。

 告訴団は昨年六月、原発事故をめぐり東電幹部らを業務上過失致死傷容疑で福島地検に告訴。検察当局の捜査に、東電幹部たちは「大津波は想定外だった」と過失を否定し、告訴団が求めている家宅捜索もいまだに行われていない。

 告発の理由を、河合弁護士は「被害を受けた人と暮らしている県警なら、被害者に寄り添った捜査をしてくれると思った」と話す。

 告訴団は告発に合わせ、汚染水対策に関する東電の内部文書を公表した。文書には、東電が事故の三カ月後の時点で、原発地下に遮水壁を造るのが「最も有効」と位置付けながら、費用や着工時期を公表しない方針が書かれていた。

 団長を務める武藤類子さん(60)は「抜本的な対策を取らないと大量な汚染水が出ることは、東電にとって想定内だったはず。文書はそれを示す証拠だ。これまでのずさんな汚染水対策を見ると、私たち被災者の犠牲はなんだったのかと思う」と憤る。

 東電広報部は三日、本紙の取材に対し、告訴団が入手した文書が「社内に存在する」と認めた。




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