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五輪招致への影響、指摘も 汚染水問題、各国が報道
東京電力福島第1原発で汚染水が海に漏出している問題が、各国メディアの注目を集めている。深刻な海洋汚染の脅威が現実となりつつある事態が連日報じられ、東京がマドリード、イスタンブールと争う五輪招致への影響も指摘されている。
「日本はもぐらたたきにうんざりしている」。米CNNは相次ぐトラブルへの政府、東電の対応が後手に回っている現状をそう例えた。地上タンクからの漏出が「懸念材料のカタログに新たに加えられた」と表現。「汚染水の海洋放出や土壌の凍結措置も考えられるが、重大な技術、政治的な挑戦となるだろう」との専門家の分析を報じた。
「約千個あるほかのタンクの耐久性にも疑問を生じさせる」とした米紙ニューヨーク・タイムズは、一連の問題が東電への視線を厳しくし、海洋放出の合意形成を難しくしたとの見方を伝えた。
英BBC放送は、敷地内のプールにある使用済み核燃料の危険性も指摘し「日本が国際的な支援を求めないのは大きな過ちだ」との声を伝えた。
事故後、2022年末までの脱原発を決めたドイツでは、保守系のフランクフルター・アルゲマイネ紙が「透明性は皆無」の見出しで、東電の変わらぬ 隠蔽 (いんぺい) 体質を批判。「約束した社内改革は口だけにすぎなかった」と、 広瀬直己 (ひろせ・なおみ) 社長の指導力に疑問を投げかけた。
20年の夏季五輪開催都市が決まる国際オリンピック委員会(IOC)総会は7日(日本時間8日)。「日本が効率的な五輪運営をすることに疑いはないが、まだ原発の危機に取りつかれたままだ」(カナダ紙)など、原発事故と五輪をからめた報道も出てきた。
候補地を抱えるスペインの地元メディア、エウロパ・プレスは「原発の問題が未解決であることは東京の五輪招致にも影響を与えるだろう」との元閣僚の発言を報じた。
政府が原発建設を急ぐ中国でも関心は高い。
共産党機関紙、人民日報の地方支社の幹部は短文投稿サイト「 微博 (ウェイボ) 」に「(日本は)平和憲法の改正を図り、軍国主義が台頭し、大量の汚染水を公海に流している」と投稿し、五輪の東京開催への反対を呼び掛けた。
国営通信の新華社は「原発の危機が東京の招致に暗い影」と報道。安全性を訴える 猪瀬直樹 (いのせ・なおき) 東京都知事の発言などを伝える記事を「日本政府は危機を見くびり続けているが、内外で高まる懸念にIOCが耳を傾けるかどうかが注目」と結んだ。
自国産の水産物などにも風評被害が拡大する韓国では、 日本政府が9月の早い時期にも抜本的対策を打ち出すことについて、 五輪招致への悪影響を懸念し「手をこまねいていた姿勢から急変した」(聯合ニュース)と分析。「根本的な事態解決は期待できない」と懐疑的な見方を伝えている。(パリ、ベルリン、北京、ソウル、東京共同)
(共同通信)
2013/09/02 15:44
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