川合玉堂(1873-1957)《彩雨(さいう)》1940昭和15年
染み入るような木々の彩りに囲まれて、雨傘をさしたもんぺ姿の女性が二人、談笑しながら右手の小屋に向かっています。
自然美とともに暮らす人々の生活を、情感豊かに描き続けた玉堂の作品は、「日本の原風景」という言葉すら想起させます。
この作品が出品されたのは、1940(昭和15)年の紀元2600年奉祝美術展。
神武天皇の即位から2600年にあたるとされたこの年に前後して、多くの日本画家が美しい国土を描きました。
それらは時局下では国民に守るべき祖国を意識させる役割も果たしたのです。
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