【速報!テキスト版 7100文字】— NHK「クローズアップ現代+」公式 (@nhk_kurogen) September 17, 2019
『是枝裕和×ケン・ローチ “家族”と“社会”を語る』の内容を記事にしました。
“リアル”を追求する演出方法や、世間の厳しい批判に対する思い。
映画を通じて社会と向き合おうとする2人の言葉、詳しく知りたい方はこちら↓https://t.co/u1O0lyeOVV#クロ現プラス
ローチ監督
「いま労働者は力を失っています。そのしわ寄せで、家庭の貧困化や家族の崩壊が起きているのです。」
「私も“お前は国の敵だ”とかいう批判を受けています。なぜなら、社会を支配している者たちにとって、自分たちの利益こそが国益だからです。」
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テレビドキュメンタリーから出発し、「家族」のあり方を問う作品を描き続けてきた是枝監督。
育児放棄された子どもたちが、懸命に生きる姿を描いた「誰も知らない」。
前作「万引き家族」では、様々な事情を抱えた血縁のない人たちが、一つの「家族」として生きる姿を描きました。
(「万引き家族」より)
“血がつながっていない方がいいということもあるじゃん。”(信代)
“まあ、余計な期待をしないだけね。”(初枝)
是枝監督
「いろんな共同体が形を変えつつある。地域の共同体も、学校もそうですね。いろんな共同体が脆弱になってきたときに、人がすがる最後の共同体が、もしくは最初の共同体が、家族の共同体なのだと思いますけども、そこに一番いろんなしわ寄せが来ているから、いろんな事件が家の中で起きている。そこにどうしても自分の目がいく、ということなんだと思うんですよね。」
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12月に公開されるケン・ローチ監督の最新作。日本でも社会問題となっている、“新たな働き方”を描きました。主人公は本社とフランチャイズ契約を結ぶ宅配ドライバー。個人事業主とされながら、過酷なノルマなど制約の中で働かされます。
そして妻は、パートタイムの介護士。過密なシフトに振り回され、満足な介護ができません。
すれ違いの生活の中、家族の絆が壊れていきます。
ローチ監督
「多くの人々が今や不安定な雇用状態に置かれています。1週間先の労働時間も給料も分からないため、映画の主人公のように自転車操業を強いられているのです。この映画で描こうとしたのは、こうした『労働者が、本来持つべき力を失っている現実』と、それが『家族に与える壊滅的な影響』です。」
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ローチ監督
「映画監督として心がけているのは、『搾取や貧困を始めとする弱者が置かれた現実をどう伝えるか』です。全ての人たちが尊厳ある人生を送るために、私は映画を通して社会の構造的な問題を明らかにし、解決に導くべきだと考えています。なぜなら、社会的に弱い立場にいる人たちは、不当に扱われていることを世の中に告発する術をもっていないからです。」
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是枝監督
「日本で『万引き家族』が公開されたとき、犯罪を擁護するのか、という意見があったり、彼らは自己責任だろうという意見が、ネットを中心に言葉が飛び交ったりという状況があって。」
ローチ監督
「私も『お前は国の敵だ』とかいう批判を受けています。なぜなら、社会を支配している者たちにとって、自分たちの利益こそが国益だからです。実際は、人々の労働力を盗んで豊かになっているのにね。」
是枝監督
「今おっしゃられたように、実際に不正をして搾取をしている人たちは誰なのか、というところになかなか目が向かないように、イギリスもそうかもしれませんが、日本はなっています。それはメディアを巻き込んで、今の政府が非常に上手に自分たちに批判が向かないようにしているからだと思います。」
ローチ監督
「そうですね。メディアにとって国益とは、富裕層や権力者の利益を意味します。だからこそ、何か問題があると、それは移民のせいだとか、労働者が怠け者だからだとか、様々な理由を示すのです。」
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ローチ監督
「私は、映画を通してごく普通の人たちが持つ力を示すことに努めてきました。一方で、弱い立場にいる人を単なる被害者として描くことはしません。なぜなら、それこそ正に、特権階級が望むことだからです。彼らは貧しい人の物語が大好きで、チャリティーに寄付し、涙を流したがります。でも、最も嫌うのは、弱者が力を持つことです。だからこそ、あなたが映画で示してきたことは、重要なのです。私たちには、人々に力を与える物語を伝えていく使命があると思います。もし、自分たちに力があると信じられれば、社会を変えるかもしれないのです。」
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是枝監督「次の章へ向かう」 世界への新たな挑戦 | NHKニュース https://t.co/8KpeQbtKlo— 黙翁 (@TsukadaSatoshi) September 18, 2019
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