#令和版百人一首リレー、は令和以降の子どもたちに残したい短歌をリレーで繋いでゆくもの。橋本麻里さんから襷をつなぎ、ぼくが選んだ47首目は金子文子のこんな一首。— 高橋源一郎 (@takagengen) September 6, 2019
「真白なる朝鮮服を身に着けて醜き心をみつむる淋しさ」
「わたしはわたし自身を生きる」(梨の木舎)に収められた「獄中歌集」から。
もっとも有名な「幸徳事件」、「虎ノ門事件」、「朴烈・金子文子事件」、「桜田門事件」。この4件の大逆事件のうち、女性逮捕者は「幸徳事件」の管野スガと金子文子の二人だけである。文子は1923年、20歳で逮捕。26年、「大逆罪」で死刑判決、後に無期懲役に減刑、その三カ月後に刑務所で自殺した。— 高橋源一郎 (@takagengen) September 6, 2019
また、彼女は自伝(手記)と並行して短歌を書いた。その歌は、彼女自身が呟いているように(「我が好きな歌人を若し探しなば夭くて逝きし石川啄木」)、石川啄木の影響を深く受けている。啄木は1912年に26歳で亡くなったが、それは文子が9歳の年。26年に23歳で文子が亡くなったのは啄木没後14年に過ぎない— 高橋源一郎 (@takagengen) September 6, 2019
文子は、パートナーの朴烈や、大震災で虐殺された朝鮮人たちへの連帯の意志をこめて(文子は少女時代を朝鮮で過ごしていた)、公判に朝鮮服を着て臨んだ。また獄中取材を求めて来た「朝鮮日報」の記者の前に白いチマチョゴリを着て現れ「似合っていますか?」と訊ねた。— 高橋源一郎 (@takagengen) September 6, 2019
就学の機会を得ることができなかったひとりの若い女性が、自らの手で学び、誰もいない場所でひそかに作った歌。これを令和版百人一首に加えたいと思います。では、この次の撰歌は、詩人の伊藤比呂美さんにお願いします。— 高橋源一郎 (@takagengen) September 6, 2019
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