東京新聞
「9条」ノーベル賞本命? オスロの団体所長「紛争続く今こそ」
2014年10月4日 朝刊
【ロンドン=石川保典】10日に発表されるノーベル平和賞で、受賞者の事前予想家として知られるノルウェーの国際平和研究所(オスロ)のハルプビケン所長は3日、「憲法9条を保持してきた日本国民」を予想の第1位に挙げた。
所長は本紙に「安倍政権による解釈変更をめぐる論争で注目されたが、そうでなくてもこの憲法は平和賞の価値がある」と話す。
さらに、中国をめぐるアジアでの緊張増大やウクライナ危機を指摘し「冷戦終結後も紛争のやまない現状を見れば、9条は平和の促進という賞の原点にふさわしい」と、1位にした理由を述べた。
「9条にノーベル賞を」という市民運動は神奈川県座間市の主婦が始め、これまでに約41万人が署名。候補として正式に受理された。今年の候補には、過去最高の278個人・団体が推薦されている。所長が発表している予想で過去10年間に的中したのは2007年のゴア元米副大統領だけ。ただ、受賞の前年などに予想していたものも含めると、3人が的中している。
Bloomberg
「日本国憲法9条保持」が有力候補-ノーベル平和賞予想
10月3日(ブルームバーグ):今年のノーベル平和賞では、日本国憲法に基づく平和主義の堅持に向けた取り組みや、貧困問題に熱心に取り組んできたフランシスコ・ローマ法王などが受賞者予想の有力候補に挙がっている。
ブックメーカーや調査機関によれば、レイプ被害者の治療のための病院を設立したコンゴの婦人科医デニス・ムクウェジ氏(56)や、米政府の監視プログラムを暴露した米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者(31)、武装勢力タリバンに立ち向かったパキスタン少女のマララ・ユスフザイさん(17)、ノバヤ・ガゼタなどのロシアのメディアも予測リストに含まれている。ノルウェー・ノーベル賞委員会は今月10日に受賞者を発表する。
毎年受賞予測を発表しているオスロ国際平和研究所(PRIO)は3日に候補者リストを更新し、「憲法9条を保持してきた日本国民」をトップ候補に挙げた。
PRIOは「冷戦終結後、国家間の戦争は事実上なくなったと考えられるようになったかもしれない。だがウクライナでの出来事や東アジアでの一触即発の緊張状態を見ると、戦争は再び起こり得るということを再認識させられる」と指摘。「平和賞の原則に回帰するのは時宜にかなっている」と説明した。
ブックメーカーのウィリアム・ヒルとパディ・パワーでの賭け率は、フランシスコ法王(77)の受賞を示唆している。2013年3月の法王選挙会(コンクラーベ)で選出されて以降、法王は地球規模での格差是正を訴えている。
原題:Japanese Peace Group, Pope Francis Among Picks for Nobel(1)(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:オスロ Mikael Holter mholter2@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Jonas Bergman jbergman@bloomberg.net;Will Kennedy wkennedy3@bloomberg.netTasneem Hanfi Brogger
更新日時: 2014/10/04 04:27 JST
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