自民党の改憲漫画から「押しつけ憲法論」を考える http://t.co/ZGcz85i87n 「日米同盟は最も重要です。基地は粛々と工事します。TPPも進めましょう」と言いながら、アメリカを悪者のように書いた漫画を配る神経。身近にいたら信用できんわ、そんなヤツ(笑)。
— 加藤慧 (@Kei_7506) 2015, 5月 6
(略)
国民は押しつけた側にいる
この漫画に出てくる松本烝治大臣や、安倍首相の祖父である岸信介など、明治憲法下での絶対主義的天皇制を支え、戦争を主導した旧支配層が、日本国憲法をGHQから「押しつけられた」というのは、ある意味で正しい表現だと思います。
なにしろ、天皇主権で人権保障がされない明治憲法を温存しようとして玉砕したわけですから。しかし、日本国民は全体としては日本国憲法を歓迎したし、その後も擁護してきました。
だからこそ、施行から68年経った今日まで、日本国憲法は改正されなかったのではないでしょうか。そんなに不合理な憲法であれば、いかに改正のハードルが高くても、早期に改正されていたでしょう。
日本国憲法の制定過程でGHQが果たした役割が大きかったことは否定できませんが、マッカーサー草案のベースになったアイデアは日本国民が考えたものであり、制定過程で多数の重要な追加や修正がなされ、国民が選んだ議員で構成する国会で議決されて成立したものです。
その日本国憲法には、国民主権が定められ、国民が日本国政府に対して有している基本的人権が列挙されています。
そういう意味で、多くの日本国民は、間違いなく、日本国憲法を「押しつけた」側にいたのです。
そうやってみると、この自民党の漫画のクライマックスに出てくる千蔵さんのセリフは、一生懸命感動的に見せようとしていますが、よく読めば右翼団体の街宣車に書いてあるスローガンとあまり変わりがありませんね。
むしろ、その後の歴史を見ると、日本国憲法で徹底した平和主義を実現させたGHQは東西冷戦の深まりと朝鮮戦争勃発の過程で、それを誤りだったと考えるようになり、日本を再軍備させ自衛隊の元となる組織を作らせます。
そして、日本の独立と同時に日米安保条約を締結し、占領軍が形を変えた米軍の駐留は現在まで続いています。
つい先日も、我が国の首相が、訪問先のアメリカで、沖縄県辺野古での新しい米軍基地の建設や、まだ国会に法案を提出すらしていない「戦争立法」の夏までの成立を約束してきました。
憲法9条を維持すべきと考える国民が多数派で、今国会での安保法制の制定に否定的な世論が多数で、沖縄県ではそれこそ圧倒的多数の県民が辺野古への新基地建設に反対しているのに、国内の議論より先にアメリカ政府に約束してくる政府は一体誰のための政府なのでしょうか。
少なくとも、筆者には、この漫画の作成を指示したという安倍首相の方が、よっぽど敗戦国根性を引きずっているように見えます。
ひょっとしたら、安倍首相と自民党は、戦後70年の節目の年に、憲法とはなんなのか、国民主権とはなんなのか、を深く考えさせるための反面教師的な素材を提供してくれたのかもしれませんね。素材を提供してくれた自民党に感謝しつつ、筆者は日本国憲法を引き続き擁護していきたいと考えます。
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