1907(明治40)年
2月5日
幸徳秋水「余が思想の変化(普通選挙について)」(日刊「平民新聞」第16号)。。
普通選挙権獲得に反対。
「彼の普通選挙や議会政策では真個の社会的革命を成遂げることは到底できぬ。社会主義の目的を達するには、一に団結せる労働者の直接行動(デレクト・アクション)に依るの外はない」。
「そもそも代議政体は・・・ブルジョア政治に固有の形式である。故に労働者出身の議員といえども、議会に入ると同時にブルジョア政治に感化され、堕落し去るのは当然である。・・・30余年の(ドイツ社会民主党の)悪戦苦闘の結果がわずか一片の解散詔勅のために吹きとばされ・・・。選挙の目的に向って訓練された三百万も革命の目的に向っては何の用もなさぬ。議会政策で勢力を得るほど、革命運動は阻喪するに至るのである。」
「我日本の社会主義運動は、今後議会政策を執ることを止めて、一に団結せる労働者の直接行動を以て其手段方針となさんことを望むのである。」
第2回社会党大会にむけた方針転換の要望。素朴なサンジカリズムの総同盟罷工論であるが、大きな影響を与える。
「足尾銅山の大騒擾」(日刊「平民新聞」第16号)。
2月5日
東京地方裁判所で「新兵に与ふ」発禁事件判決。
大杉栄、新聞紙条例33条(秩序壊乱)違反で軽禁錮1ヵ月。直ちに酵素手続きに入る。なお、編輯兼発行人山口孤剣は軽禁錮2ヵ月、印刷人大脇直寿は無罪。
2月5日
「二月五日 (火)、『平民新聞』の「○文芸界」に「▲夏目漱石 は其の著書の原稿料の過半を割いて正岡子規の家族に送りをれり、吾人は漱石君の徳を頌す、されど文豪の遺族を飢えしめつゞある社会を悪む」と掲載する。」(荒正人、前掲書)
2月5日
愛国婦人会を創立した奥村五百子(63)、没。
2月5日
日清紡績株式会社創立。資本金1,000万円。
2月6日
大杉栄「社会党の運動大勢(一)ー非軍備主義と労働組合主義」、「欧州社会党運動の大勢」(2月12日まで連載」(『日刊平民新聞』)
2月6日
亀井勝一郎、誕生。北海道。
2月7日
日刊「平民新聞」、「二六新報」記者の肩書きで荒畑寒村を足尾に派遣。夜、日光着。
8日、足尾入り。警察本部・軍司令部・鉱山事務所・検挙された坑夫宅などを取材。
9日、足尾発。
2月7日
幸徳秋水、足尾事件に関し家宅捜査受ける。夜、大杉栄、堀保子、菅野すがらが見舞いに訪れる。
8日にも家宅捜査。
2月7日
衆議院武藤金吉代議士、古河市兵衛と内相原敬の繋がり(元古川鉱業副社長)、元農商務省鉱毒予防工事監督官・足尾鉱業所長南挺三、批判。
2月7日
「二月七日(木)、木曜会。鈴木三重吉、『三月七日』の朗読をする。」(荒正人、前掲書)
2月8日
米、ボーイスカウト運動始る。
2月8日
米・ドミニカ共和国と関税管理条約を締結。ドミニカ共和国の向こう50年間の税関管理権を獲得。1904年に破綻したドミニカ経済は回復に向かう。
2月8日
ルーマニア、モルダビアで大規模な農民暴動発生。3月に軍隊により鎮圧。
2月9日
日清、漢口日本拡張居留地取極書調印。6月17日、公示。
2月9日
豊田式織機株式会社設立。本社大阪、資本金100万円、社長谷口房蔵。
2月9日
(漱石)
「二月九日(土)、若竹亭(本郷区東竹町二番地、現・文京区本郷二丁目二番)に竹本朝太夫(義太夫)を聴きに行く。途中で小官豊隆を誘う予定だったが、留守である。
★二月十日 (日)、午後(推定)内丸最一郎来て、五時まで話し込む。
★二月十一日 (月)、小雪。紀元節。鈴木三重吉(本郷区台町福栄館)を訪う。文鳥を飼うことを話す。(鈴木三重吉は、漱石の訪れたことを、小宮豊隆と加計正文に葉書で伝える)」(荒正人、前掲書)
2月10日
東洋製糖株式会社創立(台湾嘉義)。資本金500万円。1909年 開業。
2月10日
堺利彦「社会党運動の方針」(日刊「平民新聞」第21号)。
幸徳を批判。
「・・・大体の考え方でも自分は幸徳君と同じである。・・・異なるところは全然議会を否認すると、これを併せ用いることにあるのみだ。・・・私は今後、社会党運動の大方針としては、一方に議会政策をとり、一方には労働者の団結をはかり、議会の内と外とにつねに相呼応して平民階級の活力につとむるにあると思う。・・・時としては、請願の名をかり、選挙の名をかり、電車賃値上げ反対の名をかって、実は平民労働者の教育と訓練をおこなうのである。」。
2月10日
内村鑑三、「聖書之研究」(第84号)で16日付発行の角筈パンフレット第9「基督教と社会主義」は「二者を混同する者の謎を解くためには至って有用なる単論文」と予告。キリスト教社会主義者(福田英子)への警告。3月10日、破門。
2月10日
大杉栄、夕方、上司小剣・雪子宅(荏原郡目黒村下目黒)を訪ね、先客の白柳秀湖と精進揚げを相伴する。
2月10日
在米無政府主義者、「革命」第2号発行。
2月11日
高知県斗賀野村(現在の佐川町)で、平地の竹藪の竹が折れるほどの大雪が観測される。
2月11日
ペルシャ新国王モハンマド・アリー、立憲政府を承認。
つづく

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