2014年1月30日木曜日

【戦死者の個性】 平野 啓一郎さん 「英霊」一括りできるか (西日本新聞) : 「行きたくもなかった戦地で飢え、病死した人間には、今の政治家が「尊崇の誠」などという言葉で、美化することが許されない個々の生があり、死がある。」

西日本新聞
【戦死者の個性】 平野 啓一郎さん
2014年01月27日(最終更新 2014年01月27日 10時34分)

◆「英霊」一括りできるか 

 (略)

 ・・・・・行きたくもなかった戦地で飢え、病死した人間には、今の政治家が「尊崇の誠」などという言葉で、美化することが許されない個々の生があり、死がある。戦犯だけでなく一般国民にも無論、責任があった。しかし、まだ選挙権さえない頃に日本が戦争へと突き進んでいき、たまたま成人を迎えた頃に召集された世代と、その時代の高齢者との責任も同じではない。

 私は、戦死者について浮き足だったナショナリズムで、粗雑な同一性の下に語る昨今の風潮に断固として反対する。

 【略歴】1975年、愛知県蒲郡市生まれ。2歳から福岡県立東筑高校卒業まで北九州市で暮らす。京都大学在学中にデビュー作「日蝕」で芥川賞。主な著作に小説「かたちだけの愛」「空白を満たしなさい」、新書「私とは何か 『個人』から『分人』へ」。

0 件のコメント: