皇太子殿下お誕生日に際し(平成28年)
皇太子殿下の記者会見
会見年月日:平成28年2月19日
会見場所:東宮御所
問1 この1年を振り返り,印象に残った公務や社会,皇室の出来事についてお聞かせください。
皇太子殿下
(略)
私自身も,雅子と愛子と一緒に,7月そして8月に,戦後70年に関連した特別企画展などを訪れました。そこでは,戦争の記憶を風化させることなく,次の世代,さらにその次の世代に語り継いでいくべく,様々な展示や講演などが行われておりましたが,改めて過去の歴史を学び,戦争に至った背景や,戦時中の惨禍,戦後の荒廃から立ち直る上での人々の並々ならぬ努力についての理解を深め,そして平和の意義について真摯に考えるよい機会となりました。
(略)
問5 昨年は戦後70年の節目の年でした。両陛下は国内外で慰霊の旅を重ねられ,殿下は雅子さまや愛子さまとともに戦争に関する展示に足を運び,戦争体験者の話に耳を傾けられました。これらのことを通じて,改めて感じられたことをお聞かせください。ご家族で戦争についてどのような話をされ,両陛下の平和への思いをどのように引き継いでいきたいとお考えでしょうか。ご覧になった御文庫附属庫やお聞きになった玉音放送の原盤の感想も併せてお聞かせください。
皇太子殿下
戦後70年という節目の年に,先の大戦に関する様々な展示やお話を見聞きし,戦争によって日本を含む世界の各国で多くの尊い人命が失われ,さらに多くの方々が大変つらく悲しい思いをされたことを再認識し,大変痛ましく思うとともに,改めて戦争の悲惨さと平和の尊さに深く思いを致しました。そして,歴史の教訓に学び,このような痛ましい戦争が二度と起こらないようにしなければならないとの思いを強く致しました。
天皇皇后両陛下には,昨年4月には,ご訪問になったパラオ共和国で,また,先月はフィリピン共和国において,国籍を問わず先の戦争で命を落とされた方々に対して,心を込めて慰霊をなさるとともに,平和への強い思いをそのお姿で世界にお示しになりました。私たちも,そうした両陛下の平和を思うお気持ちをしっかりと受け継いでまいりたいと思っておりますし,また,私たちのみならず,多くの方々が両陛下のご訪問を通じて,先の戦争についての理解を深められたのではないかと思います。私自身,昭和40年以降,毎年のように,夏の軽井沢で,両陛下とご一緒に沖縄豆記者の皆さんにお会いしたり,戦後引き揚げてきた方々が入植した軽井沢にほど近い大日向の開拓地を両陛下とご一緒に何度か訪れるなど,戦争の歴史を学び,そして,両陛下のお気持ちに直接触れてきております。また,両陛下からは折に触れて,私たち家族そろって,疎開のお話など,戦時中のことについてうかがう機会があり,愛子にとってもとても有り難いことと思っております。
(略)
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