神主だった父に連れられ神社を掃除していたら、床下に人の気配がした。炭鉱の過酷な労働から逃れて来た朝鮮人だった。
みなが素足で、けが人もいた
▼父は彼らをかくまった。
しかし、そのために警察の拷問を受け、命を落としてしまう(『筑豊・軍艦島―朝鮮人強制連行、その後』)。
作家としての原点にある体験なのだろう。
戦争、公害そして朝鮮人強制連行の実態を掘り起こし続けた生涯だった
▼朝鮮民謡の替え歌を著書で紹介している。
連行された男性が歌っていた。〈日本へきてみれば、ひもじくて生きられない。石炭を掘る時は、ひもじくて死にそう。それを言うと木刀で殴られた・・・・・母さんに会いたいよ〉
▼日本人の加害に向き合い、虐げられた人々の側に立つ。
そんな林さんの姿勢とは、まったく違う態度である。
小池百合子東京都知事がおととい、関東大震災で朝鮮人虐殺があったかどうかを問われ、明言しなかった
▼「様々な見方があると捉えている」「歴史家がひもとくものだ」。
知事の言葉の何と空虚なことか。
政治家として事実に向き合い、教訓を得るつもりはないらしい
▼朝鮮人が井戸に毒を入れるなどの流言飛語の末に、虐殺は起きた。
犠牲者は千~数千人にのぼると政府中央防災会議の報告書にある。
数字に幅があるのは解明されぬ闇があるからだろう。
それが事件の無視につながるなら、死者は再びないがしろにされる。
『朝日新聞』2017-09-03
-------------------------------------------------林えいだいさんが亡くなられたのか。
神父だったお父さんは、朝鮮人を匿って、特高の拷問にあって亡くなられてたんだ。
これは知らなかった。
『清算されない昭和』は、いまも本棚の手の届くところにある。
いま奥付を確認したら第1刷を購入していた。
丁度、海外駐在中だったので、日本からの出張者に購入をお願いした記憶がある。
その彼も、昨年8月、私よりも若いのに内臓系のややこしいガンで亡くなった。
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