2019年2月24日日曜日

「ものわかりのよさ」こそ、私たちが駆逐しなければならない最大の散である。(稲垣喜代志) (鷲田清一「折々のことば」『朝日新聞』2019-02-19)

「ものわかりのよさ」こそ、私たちが駆逐しなければならない最大の散である。
稲垣喜代志

地方出版の魁の一つ、「風媒社」を起こした反骨の出版人は、空気を読むとか、老後のことまでそつなく考えるといった「さめた人間」が溢れる時代に異を唱えた。
「仁王立ちになって」時代に立ちはだかれと言った。
今なら遠吠えにも聞こえようが、世の趨勢から身を外し、自前の道にそっと踏みだすのも、立ちはだかりの一種だろう。
遺稿集『その時より、野とともにあり』から。

(鷲田清一「折々のことば」『朝日新聞』2019-02-19)


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