福島事故・政府事故調の調書作成に大量の「ゴーストライター」が存在 氏名とともに判明
福島第一原発事故の「政府事故調」において、事故当時の菅直人首相や同原発の吉田昌郎所長などのヒアリングと調書作成に当たっていたメンバーに、事故調への関与が公開されていない「ゴースト執筆者」が約30名存在したことがわかった。これは、同事故調の報告書に、後述の通り福島第一原子力発電所の吉田昌郎福島第一原子力発電所所長の証言の重要部分(同氏が炉心冷却のためのIC・非常用復水器の仕組みを理解していなかった点や、多くの部下が命令違反して発電所から逃亡していた点など)が含まれていないことから、報告書を作成した「政府事故調自体」にも問題点があるのではないかと考え、本誌が内閣府へ情報公開請求した結果判明した。
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以上を見ると実際の聴取とその要約の作業を事務局が行った上で「必要な範囲で報告」とあり、聴取とその後の文書作成作業に裁量・個性の発揮されることが大きいことを考えると実働部隊は事務局で、委員はあくまでも「お客様」の扱いである。
なお、同委員会の委員であった吉岡斉・九州大学副学長が2012年6月に、政府事故調は実質的な主導権を事務局が握っており、官邸には甘くなかったが霞ヶ関に甘いものだったと述べている。(ここでも事務局の人数は40人程度とされており、今回、公表された資料の内容と一致する。)
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そして、実際、この福島事故の「政府事故調・報告書には後に明らかになった疑問点も多い。たとえば政府・近藤俊介原子力委員会委員長作成の最悪シナリオとして公表されているものや、朝日新聞報道で判明した、吉田調書の内容において9割の作業員が退避してしまったという部分、吉田氏が非常用復水器(IC)について十分に理解していなかった点などが報告書に反映されていない。
また外部の有識者を募ったのは中立性の確保のためであったはずなのに、政府の下で大臣や上司に人事権を握られている官僚が主体として報告書を作成したら、保身のための遠慮が働いてしまう場合もあったはずである。そのようなメンバーに、そもそも事故の調査報告書を、あたかも中立な第三者が作ったかのような印象の元に作成させることは適切ではない。
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(情報公開請求への開示決定通知書。この通知を受け取るまでは、ヒアリングしたメンバーの外延がどこまでなのかすらも、分からなかった。)
福島事故の当事者の中には福島第一原発の吉田所長など、故人となったものもいるので、そのヒアリングを実行したメンバー自体が今後の検証のための重要な情報源になる。にもかかわらず、その氏名すら明らかにしなかったというのは、「失敗学」を提案する畑村氏が長を務める委員会としては、残念なものがある。また当の作業に当たった事務局のスタッフも、もしも自身の行った仕事が闇から闇へ葬られては、本意ではないだろう。
なお、今回の情報公開請求までに、全く事故調・調書の作成への関与が知られていなかったものが25名おり、所属とともにあげていくと、加瀬徳幸氏(総務省)、及川敦嗣氏(検察庁)、小林由幸氏(不明)、高橋稔氏(文部科学省)、森島健人氏(文部科学省)、寺岡敬氏(外務省)、豊田祟史氏(文部科学省)、横手広樹氏(経済産業省)、久保善哉氏(環境省)、浅井雅司(文部科学省)、田部大輔氏(農林水産省)、外園暖氏(総務省)、松本朗氏(不明)、下岡豊氏(文部科学省)、岡田祐樹氏(不明)、岡昭氏(不明)、永田利生氏(国土交通省)、千葉哲氏(警察庁)、松林聡氏(不明)、飯崎準氏(警察庁)、岡田幸大氏(国土交通省)、神藤正嗣氏(不明)、仁保智紀氏(外務省)、齊藤修啓氏(総務省)であり、事務局の大部分を占める。***
また、7名は、事故調ウェブサイトには記載がないものの、内閣府の担当者として連絡先を公表したりまたは説明会などに出席して「事務局」メンバーであることの資料が別の箇所にあったので、そこから所属を間接的に知ることが出来た。それが、塩澤健一氏(検察庁、法務省)、成田隆史氏(内閣府)、堀誠司氏(警察庁)、加藤経将氏(検察庁)、高島智光氏(検察庁)、奥澤鉱子氏(厚生労働省)、三田浩平氏(国税庁)になる。
そして政府事故調の発表資料から直接に事故調事務局への参加が分かるようになっていた者は、小川真二氏(検察庁)のみであった。
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