加山又造(1927-2004) 《千羽鶴》1970昭和45年
冬の鹿児島県の出水(いずみ)で、数千羽の鶴が飛び立つ光景を目の当りにしたという加山は、「千羽鶴」の主題を描くうえで、琳派の造形言語を研究しました。
左右に配された日月と、両者を分かつ波濤文を背景に、群れをなす鶴が、右隻から左隻に向かって、まるで螺旋を描くように旋回しながらとんでいく。
同形の反復によって生まれる鶴の帯は、明らかに宗達の《鶴下絵和歌巻》(17世紀、京都国立博物館蔵)に着想を得ていますが、その雄大な空間の生み出す効果は加山の独創といえるでしょう。
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