2014年9月14日日曜日

1783年(天明3年)4月~6月 浅間山大噴火の前兆(4月) 5月末より活動活発化 6月末には絶え間ない鳴動と砂降り モーツアルト長男誕生(2ケ月後に没)  【モーツアルト27歳】

北の丸公園 2014-09-12
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1783年(天明3年)
4月
・春になると冷たい北東風(やませ)が吹き霜が降る。
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・アメリカの王党派、ニューヨークからイギリスに脱出。
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・フランスのアクセル・フォン・フェルセン、アメリカ独立戦争よりフランスに帰国。
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4月1日
・イギリス、フォックス・ノース連立政権樹立。名目上の首相ポートランド公就任。
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4月3日
・モーツアルト、父に『イドメネーオ』・版刻された「作品Ⅱ」のヴァイオリン・ソナタの楽譜を送る。
また、知人に託して、自分とコンスタンツェの肖像画を故郷に届ける。
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4月9日
・浅間山大噴火の前兆
この日、浅間山噴火が始まる。
しばらくは小噴火であったが、5月26日から活動が活発化し、7月7日の大噴火につながってゆく。
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4月10日
・フランス、ポーアルネ子爵とマリー・ジョゼフィーヌ・ローズにオルタンス・ド・ポーアルネが誕生(後のオランダ王妃)。
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4月11日
・北米、大陸議会、イギリスとの戦争の休戦を正式に宣言。
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4月24日
・モーツアルト、コールマルクトからユーデン広場ユーデンプラッツ244番地〔現3番地〕の2階に引越す。
この頃、パリの出版者ジャン・ジョルジュ・シベールに作品の売り込みの手紙を書く。
自分にはクラヴィーア協奏曲が3曲出来上がっていてアルターリアが出版したがっているが、自分としてはあなたの方にやってもらいたい。30ルイ・ドールでどうだろうか。それに今6曲の弦楽四重奏曲も書いている。もし出版したいなら、これも提供しよう。ただし50ルイ・ドール以下では駄目だ。
3曲のクラヴィーア協奏曲はイ長調(K414=K6・385p)、ヘ長調(K413=k6・387a)、ハ長調(K415=k6・378b)の連作で、四重奏曲はまだ当時ト長調(K387)だけしか書かれていなかったいわゆる『ハイドン四重奏曲』の連作である。これらはやがてヴィーンの音楽出版者アルターリアが刊行することになる。
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5月3日
・[露暦4月22日]エカテリーナ2世、ウクライナに農奴制導入。
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5月7日
・この日付のモーツアルトの父レオポルト宛の手紙。
オペラの台本を得るためにいかに努力を払ったかを語る。
イタリア本国に新しい台本を求める手配をし、百冊以上のリブレットに目を通した。やがてオペラ作家としてのモーツアルトに不可欠の存在となるロレンツォ・ダ・ボンテの名が出てくる。ダ・ボンテは、この頃、アントーニョ・サリエーリ(1750~1825)のための新台本の作製を急いでいた。まだ2ケ月かかるが、そちらの仕事が終ったら、新しいのを書いてあげようという。
「約束が守れるかどうか、- あるいは守ろうとするかどうか! - 知る人ぞ知るです。イタリア人諸氏が面と向かってはたいそうお世辞がうまいのはあなたもご存知でしょう!」

結局、モーツァルトは新しい台本作製を『イドメネーオ』の作者であるザルツブルクのヴァレスコ師に頼むことになる。この日の手紙で、モーツァルトはザルツブルク訪問の意向を洩らしている。
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5月8日
・ワルシャワ、モーツアルト「後宮」上演。ヨーロッパ各地で評判
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5月26日
・この日から浅間山の噴火活動が活発化。
黒煙が大きく上がり広範囲に灰が降り、上野国碓井郡下磯部村(現群馬県安中市)では桑を洗って蚕に与えた。
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5月27日
・モーツアルト、「ホルン五重奏曲変ホ長調 (第2番)」(K417)作曲。友人のホルン奏者イグナーツ・ロイドゲープのため。
この月、スケッチと断片ハ長調(K.417B)作曲。
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6月
・この月、大風雨で利根川の本支流が氾濫。
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6月8日
・フランス、モンゴルフィエ兄弟が熱気球の浮揚に成功。世界初。
トゥルーズの弁護士で後に国民公会議員となるジャン・マイユは、翌年の文華協会の懸賞論文で、合衆国独立と最初の気球飛翔は世界史の本質的な出来事だと明言、「人類には到達できないようなものはじきになくなるだろう」と述べる。
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6月17日
・モーツアルト長男ライムント・レオポルト・モーツアルト、誕生(2ヶ月後の8月19日死亡)。
保護者の一人ヴェッツラル・フォン・プランケンシュテルン男爵を代父として、この男爵の名ライムントと父親レーオボルトの名をとって、ライムント・レオボルト・モーツァルトと名づけられた。
モーツアルトは、これに先立つ6月7日付の手紙で、子供が生まれたら「レオボルトないしレオポルディーネ」と名づけたいと、父親に対し名親になってくれるよう頼んでいる。

そして6月18日付の手紙。
「おめでとうと申し上げます。あなたはおじいちゃまです! - 昨十七日朝六時半に、家内は無事に大きくて丈夫で玉のように丸い息子を出産しました。」
「ところで名親の件です! - どんなことが起こったかお聞き下さい。妻が無事出産したことをすぐヴェッツラル男爵(ぼくの本当の親友です)に知らせました。 - 彼はすぐ自分でかけつけて、名親になってくれると申し出てくれました。 - 彼にはそれを断れませんでした。 - しかしぼくは一人で考えました。でも、この子にレオボルトの名をつけようって……こうしてぼくは子供をライムント・レオボルトの名で洗礼してもらったのです。」
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6月20日
・モーツアルト、アンフォッシのオペラ「余計なお世話(軽はずみな変り者)」に出演したクロリンダ役のアロイジアのために、アリア「私はあなた様に明かしたい、おお神よ」(K.418)、アリア「いいえ、あなたにはできません」 (K419)作曲。
モーツァルトの曲だけが受けたので、サリエリが妬んで中傷したと父へ手紙(7月2日)。

21日、同じくアンフォッシのオペラ「軽はずみな変り者」に出演したアダムベルガーのために、ロンド風のアリア「どうか、詮索しないでください」(K.420)作曲。

この月、「弦楽四重奏曲ニ短調(ハイドン四重奏曲第2番)」(K.421(417b))、アリア「ああ、あなたに明かしたい、おお神よ」(K.178(417e))、「いいえ、いいえ、あなたにはできませぬ」(K.419)、レチタティーヴォとアリア「そなたはこうして裏切りをするのか/苦く恐ろしい後悔の気持ちが」(K.432(421a))、「弦楽四重奏曲変ホ長調(ハイドン四重奏曲第3番)」(K.428(421b))作曲。
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6月25日
・小石元俊・橘南谿(なんけい)ら、伏見で刑死体を解剖。
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月末
・6月末頃から浅間山噴火はさらに激しさを増し、絶え間ない鳴動と砂降りがあった。
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