米国の所得格差が金融危機で拡大、富は上位3%に集中=FRB
ロイター 9月5日(金)6時15分配信
[4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が4日公表した調査によると、先の金融危機で、米国の富裕層とその他の所得層との格差が拡大したことが分かった。
ただ、富裕層の所得は増加したものの、2013年までに2007年の水準を回復した調査対象者はおらず、金融危機が残した傷の深さを浮き彫りにした。
一部のアナリストは、米国の富が上位1%の富裕層に集中していると指摘しているが、FRBの調査によると、実際には上位3%の富裕層に集中していることが分かった。
2010━2013年の期間に、米国の家計所得(インフレ調整後)は平均でおよそ4%増加したものの、所得の伸びは富裕層に集中した。上位3%の富裕層が所得全体に占める割合は30.5%だった。
また家計純資産の保有状況ではさらに格差が拡大。上位3%の富裕層が全体に占める割合は、1989年の44.8%、2007年の51.8%から2013年には54.4%に上昇した。
家計の富が全体的に横ばいとなる一方で、負債に関する指標の多くは低下した。住宅保有率の低下が主因で、負債は平均で13%減少した。
景気回復で貧富の差が拡大=米FRBの家計調査
http://t.co/DsFVQbDCcL(AP) pic.twitter.com/vEvDSJiXXK
— ウォール・ストリート・ジャーナル日本版 (@WSJJapan) 2014, 9月 5
米連邦準備制度理事会(FRB)は4日公表した家計調査で、米経済は2007〜09年のリセッション(景気後退)から回復傾向を強めているなか、貧富の差が拡大していることを明らかにした。
それによると、2013年の所得上位10%の世帯のインフレ調整後税引き前平均所得は10年と比べ10%増加したのに対し、所得下位40%の所得は減少した。この調査は3年ごとに行われている。中所得層については、ほとんど変化がなかった。
全体としては、平均所得は4%増加した一方、中央値は5%減少し、FRBは「この間に所得の集中が進んでいることが裏付けられた」としている。上位10%を除きすべての所得階層で、中央値は減少した。
上位3%の層の所得が全体に占める比率は、10年の27.7%から13年には30.5%に上昇した。所得下位90%の層では低下した。FRBによれば、景気後退中は最高所得層の所得が減少したため、所得格差は縮小したが、今回調査では景気後退前の拡大傾向に戻った。
FRBは、2010年以降失業率は低下し景気は回復に向かっているものの、「所得や資産について大幅な格差が生じている」と指摘した。
持ち家層や非ヒスパニック系白人、大学卒が世帯主の家計では、13年の平均所得は10年に比べ増加した。しかし借家層や非白人、ヒスパニック系、中卒者が世帯主の家計の平均所得は減少している。
資産を見ると、米世帯の資産の中間値は10年から2%減少したものの、平均はほぼ変わらずとなった。資産面でも格差は拡大しており、保有資産上位3%の層の資産が全体に占める比率は、1989年の44.8%から2013年には54.4%に上昇し、下位90%の資産の比率は、33.2%から24.7%に低下した。
米国の世帯の大半は何らかの資産を保有している。しかし株式、自動車、自宅など資産別で見ると、ほとんどで保有比率が低下しており、FRBは「さまざまな資産を所有している世帯が少なくなっていることを示している」と述べた。
13年の持ち家世帯比率は約65.2%で、1995年以来の最低となった。株式所有世帯比率も低下しているが、保有資産上位10%の層ではほぼ全員が株式を所有している。
借り入れについては、借り入れ申請を却下された世帯は少なくなったが、却下されることを恐れて申請しない世帯は増えた。また返済が遅れているとする世帯は減少しているものの、給与支払日に借り入れする世帯は増加している。
0 件のコメント:
コメントを投稿