2012年12月19日水曜日

福井県会が規制委の断層調査批判 再稼働判断求める意見書可決

福井新聞
福井県会が規制委の断層調査批判 再稼働判断求める意見書可決
(2012年12月19日午前7時08分)

原子力規制委員会による断層調査の在り方に批判的な内容を盛り込んだ意見書を賛成多数で可決した福井県会本会議=18日

 福井県会は18日の本会議で、日本原電敦賀原発の敷地内で原子力規制委員会が行っている断層調査について「少人数の専門家による独自の見解による判断」と批判し、立地地域の意見を反映した上で国の責任による再稼働判断を求める意見書を賛成多数で可決した。ただ、規制委は東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえて独立性を高める形で設置。断層調査も自ら現地確認するなど厳しい姿勢で臨んでおり、こうした規制委の在り方に踏み込んだ内容には批判も出そうだ。

 賛成したのは自民党県政会、民主・みらい、公明党、希望ふくいの29人。共産党、無所属の2人は反対した。近く原子力規制庁が外局として置かれている環境省と県選出国会議員に提出する予定。

 敦賀原発の断層調査をめぐり規制委の現地調査団は、2号機の原子炉直下を走る破砕帯(断層)は活断層の可能性が高いと判断。廃炉を求められる公算が大きくなっている。

 意見書は、規制委による断層調査を「少人数の専門家が、事業者と十分な議論をすることなく、短期間の現地調査による独自の見解のみで判断」と指摘。危険性の程度と活動の規模、原発への影響を耐震工学など幅広い分野の専門家の意見を聴きながら、科学的に解明していくことが必要とした。

 その上で、定期検査で停止している原発の再稼働をはじめとする原子力政策に関し、規制委による科学技術的な観点を踏まえ、立地地域の意見を十分反映し、最終的に国の責任で判断するよう求めた。

 最大会派の自民党県政会が意見書提出を提案。議会運営委員会で佐藤正雄議員(共産党)は「敦賀原発の断層を調査している最中に意見書を出すのは政治的圧力になる」と批判したが、県政会の仲倉典克政調会長は「信頼の持てる規制組織にしてくださいという内容」と理解を求めた。

 本会議では佐藤議員が「活断層か否かの学術調査に立地地域の意見で左右される余地は本来ない」、細川かをり議員(無所属)は「信頼の持てる規制行政を求めるなら、事業者や政治からの独立性と専門性の高い機関でなければならない」と反対討論。規制委の判断を待つべきだとした。

 福島の事故をめぐっては、事故以前に地震研究の専門家が津波想定の甘さを警告していたものの東電が取り合わず、当時の規制組織だった経済産業省原子力安全・保安院も東電の意見を追認するなど、安全規制体制の独立性が問題視された。規制委設置に当たっては、国家行政組織法3条に基づく独立性の組織とするよう自民、公明両党が提案した経緯がある。


福井新聞
再稼働意見書可決に傍聴席から大声 強制的に退場、議場一時騒然
(2012年12月19日午前7時18分)

. 原子力規制委員会の断層調査の在り方に関して福井県議会が18日可決した意見書をめぐっては、傍聴席の男性から「こんなリスクが高い原発を進めてどうするのか」との声が上がり、議場が一時騒然となった。

 県議会は本会議で、日本原電敦賀原発の敷地内で原子力規制委員会が行っている断層調査について「少人数の専門家による独自の見解による判断」と批判し、立地地域の意見を反映した上で国の責任による再稼働判断を求める意見書を賛成多数で可決した。

 吉田伊三郎議長が意見書の採決に入ろうとした瞬間、傍聴席で立ち上がった男性は議長の「静粛に」との制止を無視して「いい大人が何を考えているのか」「子どもや孫たちにどう説明するのか」などと大声で発言を続け、警備員によって強制的に退場させられた。

 一方、細川かをり議員の反対討論に対しては、意見書を提出した自民党県政会の複数のベテラン議員から「我々は行動を起こさないといけないんだよ」などのやじが飛び、荒れ模様の本会議となった。

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