2014年1月19日日曜日

昭和18年(1943)3月1日~8日 谷崎潤一郎作「細雪」連載禁止 ・大日本言論報国会創立 戦時刑事特別法改正案(言論弾圧法)可決

江戸城(皇居)梅林坂 2014-01-16
*
昭和18年(1943)
3月
この月
・蒋介石、「中国の命運」。中国固有の文化による再建を主張。
*
・特急満鉄あじあ号休止
*
・大韓民国臨時政府、国内工作特派委員会、成立。
*
・山西陸軍特務機関、太原陸軍連絡部に改組。
*
・陸軍省標語「撃ちてし止まむ」決定。朝日新聞社。東京・日劇正面に百畳敷大写真掲げる。
*
・北ボルネオの守備兵力2個大隊の内から独立守備歩兵第41大隊がタイ・ビルマ国境の鉄道建設警備の為タイに派遣。
北ボルネオの守備兵力は独立守備歩兵第40大隊の800名程度となり、これをクチン、ミリ、サンダカン等に分散、駐屯。
*
アメリカを軽視する「知米派」佐藤賢了・西義章らが重用される。
この月の衆議院決算委員会、東条側近で「黙れ事件」立役者佐藤軍務局長(大尉時代にアメリカ留学)、「・・・大体米国将校の戦略戦術の知識は非常に乏しいのです。幼稚であります」と述べる。
*
・林房雄「青年の国・第一部」(文芸春秋社)
*
・大阪商大事件。助教授学生ら約100人、検挙。追放教職員11名(うち検挙4名)、起訴者33名。
*
・蓮田善明「言霊の幸はい」
*
・日本初の長編漫画「桃太郎の海鷲」封切り。
*
・映配、ジャワ映画公社を吸収して支社を設置。
*
・劇映画企画審議会発足、陸海軍人も参加。
*
・芸術映画社、最初の長編漫画「桃太郎の海鷲」を製作。
*
・菊池寛、大映社長に就任。
*
谷崎潤一郎作「細雪」、「中央公論」連載禁止となる。
*
・南米ギアナ、ヴィシー政府から離脱、自由フランスへの参加を表明。
*
・モスクワ、「ポーランド愛国者同盟」設立。
国内のポーランド労働者党との協同を望まない部分もある。左翼軍事独裁政権創設。
*
・アルゼンチン、CGT、非政治主義を主張するCGT No1と、レイロス派・共産党系のCGT No2とに分裂。
*
3月1日
・台湾大東亜戦争特別税公布
*
3月1日
・大本営陸海軍部、対ソ静謐保持を決定。
*
3月1日
・この日、中野重治に、「夕世田谷署特高伝言。明午出頭すべしと」。
2日、「世田谷署に行きしも都合で明後本庁へ行くこととす」。
4日、「警視庁に行き深瀬に会う。午食後また行く。事ムレンラク少しも取れていぬこと分かる。早くしろとの話。重々尤も也」。

4月15日、「午後一時世田谷署へ行く。深瀬二時に来る。具体的指示あり、明日から書きはじめる事にする」。
この年、特に春から夏にかけて、連日のように世田谷署に出頭させられている。

6月7日、「八時スギ世田谷署へ行く。板倉、酒井等来ル。・・・世田谷署で板倉の言、(徳永直の)『八年制』、(窪川稲子の)『樹々新緑』に解説書いたのは合法的共産主義文化運動なる故非常に悪い」。
6月18日、「九時世田谷署に行き、本庁ツゲ警部訊問調書をつくり之に栂印する」。
*
3月1日
・連合軍沿岸航空兵団HSレーダーを使用
*
3月2日
・兵役法改正公布〔法〕。8月1日、施行。
*
3月2日
・ビスマルク海海戦。
~3日、.ニューギニア・ラエ増援(第18軍第51師団)輸送船団、ダンピール海峡でポートモレスビー米陸軍第5空軍前進部隊の攻撃受ける。
歩第115連隊など3,664・食糧弾薬水没、輸送船8・駆逐艦4喪失。
安達司令官以下2,427人、ラバウル帰還。木村少将重傷。

2日朝、B17爆撃機10機が輸送船団上空に来襲、2千m上空から爆撃、輸送船「旭盛丸」に450kg爆弾が2発命中、沈没。
駆逐艦「雪風」「朝雲」は乗船1500名のうち中野第51師団長ら918名を救助しラエに先行。
同日夕にもB17爆撃機8機が来襲、輸送艦「野島」が損傷。
3日、基地航空隊零戦41機が輸送船団を護衛、B17爆撃機13機が高高度から、B25爆撃機13機が中高度から爆撃。
零戦がB17に気を取られた隙にB25爆撃機12機が高度150mの超低空から侵入。機銃掃射を加えながらスキップ・ボミング(反跳爆撃=低空から爆弾を水面に跳躍させて船腹に命中させる)による爆撃により輸送船7隻が被弾炎上、駆逐艦「白雪」「荒潮」「時津風」も被弾航行不能に陥る。
また同日午後1時、再度の爆撃により輸送船団は壊滅。
日本軍は輸送船8・駆逐艦4を喪失、陸軍将兵約3千・多数の重火器・武器弾薬・車両等を失う。
*
3月2日
・英米語禁止で野球用語も全面日本語化させられる
*
3月2日
・~4日。ドイツ軍、ソ連軍第3戦車軍をハリコフで破る
*
3月2日
・チュニジアのドイツ軍後退開始
*
3月3日
・台湾特別行為税公布
*
3月4日
・「各方面で英、米を憎むことを教えている。
秋田県横手町の婦人会は、チャーチルとローズヴェルトの人形を吊って、女子供が出てザクリザクリと突きさしていると今朝の『毎日新聞』報ず。
世界新秩序も何もなく、ただ封建時代の敵討ち思想だ。そしてこれを指導するのが、そうした思想人だ。
一方、支那に対する政策の転換はコンプリートだ。これと自由主義外交と何の相違ありや。」
(清沢『暗黒日記』)
*
3月4日
・戦争死亡障害保険法公布
*
3月5日
・有楽町日劇正面に、100畳敷きのポスターが掲げられる
*
3月5日
・ドイツ、映画「ミュンヒハウゼン(ほら男爵の冒険)」公開、国外でも好評、シナリオ作家はベルトルト・ビュルガー(執筆禁止のエーリッヒ・ケストナーの変名)、ヒトラーはゲッペルスに怒る
*
3月5日
・~4月2日、イタリア、北イタリア諸都市で反ファシスト・ストライキ続発
*
3月5日
・イギリス爆撃軍団「ルールの戦い」開始
*
3月5日
・「グロスター・ミーティア」ジェット機初飛行
*
3月5日
・~20日。護送船団をめぐる戦争中最大の戦い。
SC122護送船団はUボート1隻の撃沈に対して22隻、HX229護送船団は21隻を失う。「太平洋の戦い」の危機
*
3月6日
・交易営団法公布
*
3月6日
・大本営、支那派遣軍に対して「支那側武装団体整備竝指導要綱」示達
*
3月6日
・メデニーヌでドイツ軍反撃
*
3月6日
・ソ連軍、中部で攻勢。ロストフとハリコフを奪回。
14日、ドイツ軍反撃。ハリコフを再占領。
*
3月6日
・ロンメル、アフリカ軍団司令官を辞任。
9日、アルニム、アフリカ軍団の指揮を取る
*
3月7日
・大日本言論報国会、創立。
「日本世界観の確立と国内思想戦の遂行」のための国粋思想宣伝。会長徳富蘇峰。
*
3月8日
・日本軍、江南侵攻作戦開始
*
3月8日
・戦時刑事特別法改正案(言論弾圧法)、可決。
治安を害する罪の実行を協議ないし煽動した者の罰則を重くする。
政府批判は一切許さない。

審議過程。
委員会懇談会では出席者20人中、原案否決11・修正6・賛成3(反対署名175)。
6日、翼賛政治会代議士会で委員長が「委員会としてはおおむね賛成」と述べ大混乱。
切崩し・脅迫・懐柔により代議士会では無修正で賛成多数となる(反対40数人)。
委員会では、反対委員9人全員辞任し、残り18人で全会一致賛成。

翼賛政治会幹部は、法案を政府原案通り通過させようとするが、この法案は武断独裁専制法案で議会機能は失われ、国民は萎縮し戦争協力もおぼつかないと、中野正剛の東方同志会系議員が反対
中野側近を自他共に認める三田村武夫が反対論の先鋒で、軍人から転身した橋本欣五郎・満井佐吉らも同調
若手議員中谷武世らは、「権力主義者にこれ以上の権力を与えてなるものか」とのつぶやきもある。
東條は軍人出身議員切り崩しにかかる。
翼賛政治会有力議員橋本欣五郎を、築地の料亭に呼びつける。橋本の秘書岡忠男は、隣室で東條と橋本のやりとりを聞く。初め東條は声をひそめて橋本を説得、逆に橋本の方が「国民を自発的に戦争協力にもっていくのが本当ではないか」と抗議。東條は怒り、「橋本、貴様はおれの敵か味方か。敵なのか味方なのか、はっきりしろ」と言う。橋本は沈黙。
会談後の帰りの自動車の中で、橋本はもし敵だと答えたら、明日あたり憲兵隊に呼ぶつもりに違いないと言い、東條の権力体質を恐れる。
東條の行動に呼応して、翼賛政治会の前田米蔵・大麻唯男、書記官長星野直樹らが根回しに走る。
この時、陸軍省から大量の資金が流れたと云われる。

この頃より、中野正剛、鳩山一郎、芦田均、三木武吉らが、東條の姿勢に不安と焦慮をもって動き始める。

憲兵司令官加藤泊次郎は鈴木貞一と謀り、大がかりな情報網を宮中、政官界に築く。
内大臣木戸幸一、内大臣秘書官長松平康昌、鉄相八田嘉明が加藤と連絡をとり、情報を東條に伝える。
治安関係は司法次官・警視庁特高部長が加藤の副官岩田宗市を通じ、東條に定期的に情報を寄せることになる。

戦時議会の実態。
例えば鶴見祐輔が「必勝の信念は何を根拠に言われるのか」と質問、東條の答弁は(脈絡のない自己満足に満ちた発言)、・・・「由来皇軍の御戦さは、御稜威の下、戦えば必ず勝つのであります。これは光輝ある皇国三千年来の伝統であり、信念であります。われわれの祖先は、御稜威の下、この信念の下にあらゆる努力を傾倒し、戦えば必ず勝って今日の帝国を築き上げてまいったのであります。・・・」
*
3月8日
・スタンドレー駐ソ米大使、ソ連の反米態度を非難。召還。
*
*

0 件のコメント: