2015年3月26日木曜日

敦賀原発 真下の断層「将来動く可能性」 (NHK) / 敦賀原発断層調査 原子力規制委、「活断層」との評価書受理 (FNN) / 地元市長「理解し難い」…「活断層」判断を批判 (読売新聞) / 原電、揺らぐ経営の根幹 原発専業、意義に疑問も (共同)  

NHK
敦賀原発 真下の断層「将来動く可能性」
3月25日 17時26分

福井県にある敦賀原子力発電所2号機の真下を通る断層について、原子力規制委員会の専門家会合は2年前に出した結論をほぼ変えず、「将来動く可能性がある」とする評価書を規制委員会に報告しました。新しい規制基準では、将来動く可能性のある断層の上に重要な施設を設置することを認めていないため、敦賀原発2号機は廃炉になる可能性がありますが、事業者の日本原子力発電は結論に反論し、今後、再稼働に必要な審査を申請する方針です。

敦賀原発2号機の真下を通る断層を巡っては「活動性はない」と日本原子力発電が主張しているのに対し、原子力規制委員会の専門家会合はおととしに続き、追加調査を行ったあとの去年11月にも「将来動く可能性がある」とする評価書の案をまとめています。

その後、今回の議論に参加していない別の専門家からの指摘を受けて、地層の評価の説明など一部を修正したものの結論はほぼ変えず、2号機の真下を通る断層が「将来動く可能性がある」とする評価書をまとめ、25日、規制委員会に報告しました。

これで、3年前から始まった専門家会合での議論が終わり、1つの区切りを迎えたことになります。原発の新しい規制基準では、将来、動く可能性のある断層の上に原子炉建屋など重要な施設を設置することを認めておらず、敦賀原発2号機は、再稼働できずに廃炉になる可能性があります。
これに対し、日本原電は結論に反論し、今後、再稼働に必要な審査の申請をする方針です。

この断層の問題について規制委員会の田中俊一委員長は「申請があれば今後の審査会合で判断する」と述べ、その際には、専門家会合の見解を重視する考えを示しました。

石渡座長「前回を踏襲」

専門家会合で座長を務めた原子力規制委員会の石渡明委員は会合のあと記者会見し、敦賀原発2号機の真下を通る断層についての今回の評価書について、「日本原子力発電の追加調査を受けて再検討してきたが、おととしの評価書と決定的に違う事実はなく、基本的に前回の結果を踏襲するものになった」と述べました。

そのうえで、今後、日本原電から再稼働に必要な審査の申請が出された場合の対応について、「具体的に評価書をどこまで重視するかは、まだ事業者から申請が出ていない段階なので、今述べるのは適当ではない」として明言を避けました。

日本原電「不正かつ無効な行為だ」

原子力規制委員会の専門家会合が、敦賀原発2号機の真下を通る断層についての評価書を報告したことについて、日本原子力発電は、「原子力規制委員会に対し、規制当局として取るべき適正手続きを全く欠いた、不正かつ無効な行為であると強く申し入れたところです。重大かつ明白に信義則や適正手続きに反するものと認識していて、当然無効であると考えています」というコメントを発表しました。

敦賀原発断層の論点

敦賀原発の敷地の地下にある複数の断層や亀裂は、同じ敷地内にある浦底断層という活断層と連動して動く可能性が指摘されていますが、2号機の真下を走る「Dー1」と呼ばれる断層は、さらに別の断層の調査結果から「将来動く可能性がある」とされました。

「将来動く可能性のある断層」の定義は、12万年前から13万年前の後期更新世という年代以降の活動が否定できないものとされています。

調査の中で、「D-1」の延長線上浦底断層に近づく辺りで別の「K断層」が見つかり、注目されました。

日本原子力発電は、K断層の上の地層に含まれる火山灰の年代がおよそ12万7000年前であり、その下にあるK断層の活動時期は後期更新世より古く、D-1とのつながりも確認できなかったと主張しました。

これに対し、規制委員会の専門家会合は、12万7000年前とされる火山灰の堆積は部分的で、その年代以降にK断層が活動していないとは判断できず、K断層はD-1などの2号機の真下を走る断層と一連である可能性が否定できないとして、「将来動く可能性がある」としました。

去年12月、別の専門家たちが客観的な立場で検討する会議では、「専門家会合の事実認識に誤りはなく結論は適切だ」という意見の一方で、「K断層の上にある地層の日本原電の評価は自然で十分信頼できる」とか、「断層の傾きなどがD-1とK断層は全く異なる」などと、原電の見解を支持する意見も出されました。

新しい規制基準は、断層の活動性の評価が難しい場合、安全側に判断することを求めていますが、今回の評価書は専門家の間でも意見が分かれる部分があり、今後、審査会合に議論の場が移された後も論争が続くとみられます。


FNNニュース
敦賀原発断層調査 原子力規制委、「活断層」との評価書受理
03/25 23:17

原子力規制委員会は、福井県にある敦賀原発2号機の真下を通る断層について、電力会社側の反論を受けて、追加調査を行ってきたが、あらためて「活断層」であるとの評価書を受理した。

石渡委員は「2年前に出された、その1の評価書と、基本的な結論は変わらなかったと」と述べた。

原子力規制委員会は、敦賀原発2号機の真下を通る断層について、2013年、「活断層」として評価書を受理していたが、事業者である日本原子力発電が、追加調査をしたうえで、「活動性はない」と反論していた。

これを受けて、規制委員会の専門家会合で、あらためて評価をしたが、「将来活動する可能性のある断層」と、結論はほぼ変えず、25日の会合で、評価書が受理された。

新たな規制基準では、活断層の上に原子炉建屋を建てることは認められておらず、廃炉を迫られる可能性がある。

日本原電は、この結論にも反論し、再稼働に向けた申請書を出す方針を示している。

仮に、申請書が出されれば、規制委員会は受理し、審査を進めることになるが、規制委員会では、評価書の内容を重視したうえで審査するとしている。


読売新聞
地元市長「理解し難い」…「活断層」判断を批判
2015年03月26日 12時00分

 原子力規制委員会の有識者会合が25日、敦賀原子力発電所2号機(福井県敦賀市)直下の断層(破砕帯)を「活断層」と判断し、決着は安全審査の場に持ち越される見通しとなった。

 ただ、結論を覆すのは困難とみられ、事業者の日本原子力発電や、原発の経済効果で潤ってきた敦賀市は厳しい状況に追い込まれている。

 規制委の田中俊一委員長はこの日の記者会見で破砕帯問題について「いつまでも結論を先延ばしにしてもしょうがない。ようやく正式な審査に入る段階にたどり着いた」と述べた。再稼働の前提となる安全審査が申請されれば、有識者会合の結論を尊重しつつ、最終判断を下すことになる。

 活断層との評価が確定すれば、敦賀2号機は廃炉に追い込まれる。判断の見直しを求めてきた原電は「信義則や適正手続きに反しており無効」と規制委を批判。河瀬一治市長も「理解し難い」とコメントした。

 市内には敦賀1、2号機と高速増殖炉「もんじゅ」の計3基の原発がある。税収や雇用面で地元に貢献してきたが、1号機は今月17日に廃炉が決まった。市は2号機まで廃炉になる事態は、防ぎたいのが本音だ。

 市の試算では、1号機の廃炉による市財政への影響額は年間5億円程度。そこで「貯金」にあたる財政調整基金(残高約27億円)を、2016年度から3億円ずつ取り崩す方針だ。仮に2号機まで廃炉になれば「さらに影響が膨らむ」(担当者)ことが避けられない。

2015年03月26日 12時00分


47トピックス
原電、揺らぐ経営の根幹 原発専業、意義に疑問も 

 原子力規制委員会が25日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)の直下を走る断層を「活断層」と認める有識者の評価書を確定したことで、敦賀2号機は廃炉の可能性が高まった。再稼働の見通しが立たなければ、原発を専業とする原電の経営の根幹が揺らぎ、存在意義が問われることも予想される。

 原電は17日、運転開始から約45年が経過した敦賀1号機の廃炉を決定。同日に発表した経営改革計画で、東海第2原発(茨城県)と敦賀2号機の再稼働を目指す方針を示した。 木村仁 (きむら・ひとし) 常務は「二つの原発運営が本業になる」と強調したが、廃炉と引き換えに再稼働を目指す戦略は出ばなをくじかれた格好だ。

 東海第2は運転開始から約36年になり、2014年5月に規制基準に適合するかの審査を規制委に申請したが、合格しても老朽化対策が必要になる。一方、敦賀2号機は運転開始から約28年と比較的新しく、再稼働に向けて全力を挙げていた。

 原電は契約先の大手電力5社から原発の維持費として受け取る「基本料金」は減少し、収益基盤は細っている。経営改革計画では廃炉事業や海外展開を新たな収入源にする方向を示したが、具体的な内容は決まっていない。敦賀3、4号機の建設計画は捨てていないが、着工のめどは立たず、経営改善に向けた将来像が描けないままだ。(佐藤大介)
(共同通信)
2015/03/26 13:45



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