大正デモクラシーなど明治憲法下でも「立憲主義の一定の成果」があったことや、「戦争が立憲主義の最大の敵」であり、日本国憲法は、人権保障など立憲主義の特質をとらえ直したものであることを指摘。
「憲法に基づいて政治を行う」という立憲主義を考える時に重要なのは、「人類が恣意的支配を避けようと自覚し、試行錯誤を重ねてきた歴史から何をくみ取るか」だ、と述べた。
また佐藤氏は、憲法学者の佐々木惣一(1878~1965)の著書「立憲非立憲」(1918年)に言及。
日本の立憲制度の採用は、日本だけではなく、人類の文化や政治にかかわる意味を持つとの論考を紹介した。
佐々木によると、憲法に違反しないだけでは立憲とは言えず、「立憲主義の精神に違反」する「非立憲」も避けなければならないという。
佐藤氏は、安保法制への直接的な見解は示さなかった。
しかし、講演後の議論で石川健治・東大教授が、「立憲非立憲」を取り上げたのは、「非立憲的な政権運営が行われていないか、とおっしゃろうとしだと思う」と解説。
これを受けて佐藤氏は、非立憲的な行動を「政治家は特にやってはいけないと(佐々木が)言っている」と加えた。
議論に加わった樋口陽一東大名誉教授も、安倍政権が憲法改正の発議要件を定める憲法96条を改正しようとしていたことに触れ、「自分の都合に合わせてハードルを下げるのは、非立憲の典型」であると話していた。
『朝日新聞』2015-06-16
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