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不登校の背景に貧困 大学教授が横浜で講演
カナロコ by 神奈川新聞 6月26日(金)7時0分配信
横浜市児童・生徒指導中央協議会が25日、同市中区内で開かれ、川崎の中1男子殺害事件でも注目された不登校の問題をテーマに、教育と福祉の連携体制について話し合った。講演した大阪府立大の山野則子教授は「不登校の子どもの背景に少なからずある貧困やネグレクトの問題に目を凝らし、教育と福祉がそれぞれの役割を担うことが大事だ」と呼び掛けた。
協議会には小中学校の児童支援、生活指導の専任教諭や福祉関係の職員、少年担当の警察官らが参加。
山野教授はスクールソーシャルワーカーとして自身が関わった事例を挙げながら、貧困の問題に目を向ける必要性を説いた。
6畳一間に幼稚園から高校生まで7人が暮らす父子家庭のケースでは、プライベートの場がなく、年ごろの子が着替えもままならない状態で家に寄りつかなくなり、不登校に。非行で補導された。また、小さな子は室内が不衛生で病気になっていたが、病院にも行っていなかったという。
山野教授は「学校から見える姿は非行や病気という部分だけ。しかし、その背景にある6畳一間に7人が住むという現状を知らなければ、問題は解決しない」と話した。
トラック運転手の父親は生活保護や就学援助が申請できるとは知らずにいたが、ケースワーカーが親身に寄り添った結果、生活保護を受けることになり、家賃が抑えられる公営住宅に転居。不登校や非行が改善するのに長い時間はかからなかったという。
「仕事を3カ所も掛け持ちしている母子家庭の親もいる。疲れた母親に朝起こしてもらえず、子どもは遅刻しがちになり、不登校になるケースもある」
山野教授は近年増えている生活保護率が、昭和40年ごろの数字と同じであると指摘。就学援助の対象となる児童・生徒の割合は全国で15・6%に及んでいるデータなどを示して、「不登校の背景にこうした貧困の問題があることを認識しておくべきだ」と述べた。
また、学校と児童相談所など教育と福祉が互いの組織の弱みを認識し、共有することの重要性を挙げ、「それぞれの立場が違えば考え方も違うのは当然だ。葛藤が当たり前と思って始めれば、連携はうまくいく」とアドバイスした。
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