とことはに死語にはさせじ敗戦日 (合志市)坂田美代子
終戦日父の遺せし辞書を引く (川口市)青柳悠
生き様を振り返りつつ敗戦日 (小城市)福地子道
敗戦忌人災ここに極まりぬ (倉敷市)森川忠信
洗濯機止めて黙禱原爆忌 (東京都府中市)酒井努
子どもらは炭になりたり原爆忌 (新潟市)伊藤敏
八月や平成の「平」昭和の「和」 (広島市)金田美羽
三たびめは黙するなかれ敗戦日 (東京都)片岡マサ
『朝日歌壇』2015-08-17より
金蚊(かなぶん)に歓声あげる園児たちきみらがだいじ「改憲」阻もう (東京都)十亀弘史
*「かなぶん」:原稿は「ぶんにょう」に「虫」
デモの中おひとついかがと配られる老女持参のキスチョコゆかし (青梅市)宇津木まや
支持されてゐるからと言ひ支持率を下げてもやると今度は言へり (熊谷市)内野修
九条を傷だらけにして孫に継ぐ七十年目の哀しき節目 (座間市)田中洋一
「戦争なんてする訳ないじゃん」十八の俺も思っていたよ娘よ (春日市)伊藤流水
戦にて手榴弾投げさせられし投手沢村ついに還らず (青森県)中村範彦
まだ仮設ありて五度目の夏を耐え忍ぶ人らよミンミンが鳴く (福島市)美原凍子
<戦争による平和なし>と言ひ切りし清水寺の貫主すがしも (鹿嶋市)加津牟根夫
押しつけでできた憲法と言いながら変える時こそ押しつけである (登別市)松木秀
空爆の止みし月夜に畑おこし芋蔓植えた十歳の夏 (福岡市)倉ノ前松
祖父の戦死こころに在りて娘らは国会前へ出かけて行きぬ (青梅市)圓城寺順子
原爆を二つもあびた国なのに「特殊な国」を何故放棄するの (加古川市)長山理賀子
夏帽子汗と怒りに包まれて国会囲む憲法危ふし (青梅市)津田洋行
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