2013年8月30日金曜日

「わかるヨコハマ」回収問題、大学教授らが市教委に停止要請/横浜 関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する記述を改訂

神奈川新聞
「わかるヨコハマ」回収問題、大学教授らが市教委に停止要請/横浜
2013年8月29日

 自民党市議の意見を受け、横浜市教育委員会が市立中学校に配布している副読本「わかるヨコハマ」の2013年度版で関東大震災時の朝鮮人虐殺に関する記述を改訂し、12年度版を回収している問題で、大学教授ら研究者32人は28日、市教育委員長宛てに、13年度版の再修正と12年度版の回収停止を求める要請書を提出した。

 呼び掛け人は関東大震災時の朝鮮人虐殺を研究している立教大の山田昭次名誉教授ら。要請書を提出した市民団体は「『はだしのゲン』の学校図書室での閉架措置を決めた松江市教委以上の問題。副読本の回収は保護者と子どもを巻き込んだもので決して看過できない」と厳しく非難している。

 要請書は、12年度版にあった「虐殺」の記述から13年度改訂版では「軍隊・警察」の関与が抹消されすべて「自警団」の責任とされ、「虐殺」「迫害」の表現も「殺害」となった点について、「(旧版の記述は)研究に基づいたもので改訂の必要はなかった」「市教委の判断で特定の歴史的な用語を排除することは許されない」と指摘。

 「歴史の真実を学び大災害時のパニックに流されないことや、人権意識を高め、在日外国人との友好を育成するという観点からも今回の改訂は逆行している」と述べている。

 「わかるヨコハマ」改訂問題の発端は昨年7月19日の市会常任委員会。会議録によると、自民党市議が12年度版の記述について「虐殺という表現は例えばナチの大量虐殺とかポル・ポトの大量虐殺とか、そう使う表現。関東大震災後の世間で使われる表現ではないと思う」「わが国の歴史認識や外交問題に極めて大きな影響を及ぼしかねない」と発言した。

 当時の教育長はその場で「虐殺という言葉は非常に強い、一定の主観が入った言葉だと考えている」と述べ、改訂と12年度版の回収を約束。改訂理由について市教委は「『虐殺』という言葉については子どもの発達段階に応じた表現にした」と説明している。

 改訂版は5月から配布。市教委は各学校長に依頼し、12年度版を持つ現在の中学2年生約2万7千人から回収を行っており、現時点で約半数を回収したという。

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