2012年8月30日木曜日

東電、旧屋内退避区域の就労不能損害の賠償期間を一方的に打ち切り宣言

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国の指針を完全無視! 東電が汚染被害者への賠償を勝手に打ち切り宣言
 2012年8月29日(水)10時0分配信 週プレNEWS

経済産業省が7月20日に公表したリリース「避難指示区域の見直しに伴う賠償基準の考え方」では、旧屋内退避区域における家屋、営業損害などは「旧緊急時避難準備区域」(福島第一原発から20~30km圏)の扱いに準ずると明言している。それによれば、旧屋内退避区域の就労不能損害の賠償期間は今年12月31日までとなる。

ところが、そうした国の指針を無視するかのように、その4日後の24日、東京電力はホームページの片隅にこう掲載した。

「※(就労不能損害については)従前のお勤め先が上記区域(緊急時避難準備区域)以外の方のご請求受付は、原則として4回目のご請求(平成24年3月1日~平成24年5月31日)までとさせていただきます」

なんと、公表時点から2ヵ月もさかのぼって、賠償金の打ち切りを宣言したのである。

場内の放射能汚染により営業停止を余儀なくされている福島県いわき市のゴルフ場「いわきプレステージカントリー倶楽部」の社員は、東電から3ヵ月に一度振り込まれる、この就労不能損害賠償金で生計を立ててきた。そこに、この突然の打ち切り通告。社員の冨士田進氏(65歳)はこう怒りをあらわにする。

「本当にひどい。就労不能者にとって、こんな大切なことをホームページに載せるだけですませてしまう東電の神経が理解できません。事前通告? そんなもの、ありません。私のようにインターネットを利用しない年配者は知りようがない。ゴルフ場の同僚が教えてくれなかったら、今も気づいていなかったはずです。しかも、7月下旬になって5月末の支給で打ち切ると言い出すなんて、こんな卑怯な“後出しジャンケン”はない!」

8月末に5回目の賠償金が振り込まれないと、社会保険事務所に約束していた6、7月分の保険料も未払いになってしまうと冨士田氏は言う。

8月3日、同倶楽部の社員6人は原子力損害賠償支援機構の無料個別相談会に駆け込んだ。このあまりにもえげつない“後出しジャンケン”への対応策を練るためだ。すべての相談を終えた後で、担当の弁護士が6人に、「東電に何か言いたいことはありますか? あれば書面にして、私が東電に提出します」と尋ねた。その言葉を聞き、6人のうちのひとり、氏家慎一氏(37歳)がこう口を開いた。

「あまりに腹が立ちすぎて、何を言っていいかわからない。言葉にならないくらい僕らは東電に対して怒っている。先生、しっかりとそう書いてください!」

幸いなことに、8月に入って突然、同倶楽部に対し環境省が「直轄事業として除染に取りかかる」と連絡してきた。同倶楽部の総支配人、合津純一郎氏(43歳)が、声を弾ませる。

「7月下旬、環境省が初めてゴルフ場内の汚染調査にやってきたんです。ゴルフ場の出口に小学校があります。しかも、その近くの空き地に復興住宅の建設も決まった。このままゴルフ場の汚染を放置しておくのはまずいと判断したのでしょう。行政がきっちりと除染をしてくれれば、いつかゴルフ場を再開できるかもしれません」

一方、 “後出しジャンケン”に憤る同倶楽部社員に対し、東電からの連絡は8月16日を過ぎてもなしのつぶてのまま。相変わらずの傲慢ぶり、と言うしかないようだ。

(取材・文/姜 誠)

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