シュゼンジカンザクラ 2015-03-13 千鳥ヶ淵緑道
*昭和18年(1943)
8月28日
・国民総力朝鮮連盟、朝鮮の文化関係者を鎮海警備隊、佐世保海兵団などに見学団派遣、金史良選ばれる
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8月28日
・全国9地区に地方行政協議会設置
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8月28日
・ブルガリア国王ボリス3世、没。シメオン2世即位。
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8月29日
・「八月二十九日 {日曜日}来月より女子縮髮機械は電力を費すが故政府にて買上となす由。従つてパーマネント縮髮は本年中には消滅する筈なりと云。」(永井荷風『断腸亭日乗』)
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8月29日
・「アッツ島の山崎大佐が二階級飛びで中将になる。昨夜のラジオも今朝の新聞も、それで一杯、他の記事は全然ない。軍の命令であることが明らかだ。昨夜のラジオも八時から九時のものはプログラムを変更した。
「鬼神も哭(な)く」式の英雄は、もう充分なり。願わくはもはや「肉弾」的な美談出づるなかれ。そして作戦をしてさような悲劇を繰返す如き方途をとらしむるなかれ。
それにしても国民は「責任の所在」を考えないのだろうか。イグノランスの深淵は計りがたい。
一方において毎日、科学奨励に一生懸命であり、他方において頑愚なる精神主義を高調す。この矛盾は永久に続くものにあらず。」(清沢『暗黒日記』)
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8月29日
・ドイツ軍、デンマークに非常事態宣言。政府退陣、軍の武装解除。ドイツへの抵抗強まる。
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8月30日
・「約一ケ月近くぶりで下山。東洋経済新報に出社。伊藤正徳君も来たる。
石橋君の話では山中湖で有田〔八郎〕氏と会談。有田氏も極端に時局を悲観しているそうだ。アンコンジショナル・サレンダーになると、公然研究もできず、困るという。有田氏の話しによると、東条首相以下は、まだ楽観しているとのこと。おそらくはその地位に居ると楽観するものであろうと。
伊藤君の説では米国はラバウルに全力をつくしているようだ。ラバウルが落ちれば第一線に楔(くさび)を打ち込まれるものである。比島に来れば日本は駄目であろう。」(清沢『暗黒日記』)
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8月31日
・ニュージョージア島裏ムンダ周辺の重砲陣地、アルンデル島の迫撃砲陣地からコロンバンガラ島への砲撃開始。以降、毎日午前7時~午後4時、間断なく続く。
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8月31日
・文化学院・向島女学校などに閉鎖命令。
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8月31日
・ドイツ軍「ライントホター」対空ロケットの最初の試験射撃
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9月
・宋慶齢、「海外にいる友人たちへ送る公開の手紙」公表。共産党地区への平等な支援求める。
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・大本営政府連絡会議、海軍護衛司令部を発足させる。シーレーン確保のため。
商船改造の護衛空母4隻(雲鷹、海鷹、大鷹、神鷹)と931空(佐伯:48機)が配備・新設。
商船船団との連携がうまくいかず空母4隻中3隻は初出撃で米国潜水艦の雷撃を受け沈没。
海防艦建造も急がれるが、最高速度が17ノット程度であり、浮上航走する米船潜水艦(20ノット程度)に逃げ切られる。
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・決戦教学刷新の方針から閉鎖された文化学院前校長西村伊作、不敬罪及び言論出版集会結社等臨時取締法第18条(人心惑乱の罪)違反で起訴。
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・東京、丸善関係(M)グループ8名検挙。親睦会、左翼文献蒐集分配・販売。
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・日本出版会、全ての出版書籍に対し審査制をとり、従来6%程度の不承認件数を30%に引き上げ、出版の企画届出に原稿又はゲラ刷の事前提出を強化、良書でも不急とみなせば不承認とする方針を決定。
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・ジャワ郷土防衛義勇軍、創設。
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・農業団体法制定に伴い、全国購買販売組合連合会を全国農業経済会とする。
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・造幣局東京支局、設立。
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・日本移動映写連盟、発足。
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・唐木順三『鴎外の精神』、伊東静雄『春のいそぎ』、・太宰治(34)『右大臣実朝』書下ろし長編(錦城出版社刊)、小林秀雄(41)「ゼークトの『一軍人の思想』について」(「文学界」)・「文学者の提携について」の要旨(「文学報国」)。
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・イギリス、イーデン、対ドイツ戦でのソ連の重要性のためポーランド亡命政府首相にソ連との和解、国境としてのカーゾン・ライン受入勧める。
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・ポーランド、国内軍ブル・コモロフスキ将軍、配下部隊に「山賊行為と戦え」と命令。ポーランド労働者党は同党と戦う指示と解釈。
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・ドイツ『コンスタンティーン』作戦(バルカン半島のイタリア支配地域の占領作戦)
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9月1日
・決戦美術展、藤田嗣治「アッツ島玉砕の図」
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9月1日
・南鳥島に米機動部隊来襲
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9月1日
・日本出版会、統制違反に対する強硬発表。全会員の自粛・自戒を要望。
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9月1日
・「欧州大戦満四年。
関東大震災二十周年目。
文化学院前校長西村伊作氏不敬罪および人心惑乱罪で収容された。
「自由主義者」に対する圧迫きたる。もっとも西村とはどういう人か知らぬし、文化学院の教育方針は、僕の如き規律を尊ぶものには賛成できぬが。ただ不敬罪とは大事件だ。尾崎行雄も同じで、近頃として二人目。」(清沢『暗黒日記』)
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9月1日
・ソ連軍ドロゴブーシ占領。鉄道に対するパルチザン作戦
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9月2日
・「近頃は必ず「楽観に流れず、悲観に陥らず」といい、また「敵を侮らず、恐れず」という。これだけの言葉は文や講演の後に加える。この中間の心境とは何だろう。研究すれば必ずどちらかに陥る。有耶無耶に過ごすことが戦時心構えか。」(清沢『暗黒日記』)
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9月2日
・アメリカ第12空軍の空襲でブレンネル峠、一時通行不能となる
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9月3日
・参謀本部、インパール作戦許可。
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9月3日
・動物園の動物たちの処分。
4日、上野動物園慰霊塔前で慰霊法要。
「東京都では空襲などの非常時に際しての万一を考慮して、上野動物園に飼育する最も危険なライオン以下の猛獣をこのほど穏かな方法で処置した。長い間都民に、いや全国の人々に親しまれた動物なので・・・はじめ都としては空襲などの万一の際に臨んで非常処置をすることに準備を整へていたのであるが、如何に馴れた動物でも激烈な衝撃に遭っては恐るべき狂乱状態となり、処置の執行に万一齟齬があっては・・・との懸念と情勢の急迫から非常手段をとらず、穏やかな方法で事前に処置することになったもので、死骸は剥製にして保存する・・・」(「朝日新聞」同日付)。
処分された動物たち(上野動物園)。
1943年8月17日北満ヒグマ、クマ、18日ライオン、ヒョウ、朝鮮黒クマ、19日北満ヒグマ、20日朝鮮黒クマ、クマ、22日ライオン(2頭)、トラ、チーター、24日北極グマ、26日黒ヒョウ、ヒョウ、ガラガラヘビ、27日ニシキヘビ、ヒョウ、マレーグマ、黒ヒョウ、29日アメリカ野牛、北極グマ、象(ジョン)、9月1日アメリカ野牛、11日象(花子)、ヒョウ、23日象(トンキー)、計27頭。
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9月3日
・連合軍、イタリア本土(半島先端部カラーブリア)上陸
イタリア首相バドリオ、参謀本部カステッラー准将に指示してシチリア島で秘密裏に連合国と休戦協定締結。
8日 公表。
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