4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、3期ぶりに前期比マイナスとなった。
それでも英エコノミスト誌は日本経済は好転していると評し、政府や民間エコノミストも落ち込みは一時的だという。
確かに報道は、企業収益の駄犬、賃金・ポーナスの回復、高級品の好調な売れ行き、外国人旅行者の増加と「爆買い」など、景気の明るさを示すものが多い。
しかしGDP統計が示す日本経済の姿は、かなり印象が異なる。
GDPの6割を占める個人消費は、消費増税後の落ち込みから回復しないまま再び減少した。
自動車など耐久財では増税の影響がなお残り、食品価格の上昇が消費を抑制している様子がうかがえる。
その結果、実質GDP金額は増税駆け込み前の2013年10〜12月期をなお下回っている。
両者が懸け離れていることから分かるのは、景気回復はごく一部にととまり、国民の多くには回復の果実が及んでいないという事実であろう。
確かに株高で利益を得た人はいる。ボーナスが増えた正社員も少なくない。
しかし全体としてみれば、増税前と比べて最も回復が遅れているのは家計の需要だ。
実際、賃金回復はごくわずかで(実質賃金はまだマイナス)、雇用増加の中心も今なお非正規労働者である。
円安などで生活用品価格は上昇し、暮らし向きは厳しいままだ。
だから、多くの家計は貯蓄を増やし消費を抑制している。
景気回復がいずれ幅広い層に浸透し、国民の回復実感が高まる可能性がないとは言えない。
しかし時間がだてばたつほど、国民の期待は不信に変わり、消費はもっと萎縮する。
誰の誰による誰のための景気回復だったのかが問われる日はそう遠くない。
(山人)
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