岡本太郎 『夜明け』
美術館の説明
岡本太郎 1911-1996
夜明け 1948 昭和23年
岡本太郎は、さまざまな矛盾を矛盾のままに対決させる「対極主義」という制作理念を唱えて戦後の美術界に旋風を巻き起こし、八面六臂の活躍をみせました。
夜の闇を切り裂くように、画面中央の怪物が天に向かって遠吠えするこの<夜明け>は、まさに太郎自身の戦後の第一声といえる作品です。
怪物の左右には、耳をふさぐ男と、のけぞる女が対をなすように配置され、その周りを赤や黄などの原色が乱舞する。
様々なエネルギーが衝突し、軋みを上げるこの作品は、「対極主義」の主張の具体化を目指したものなのです。
岡本太郎 『燃える人』
美術館の説明
岡本太郎 1911-1996
燃える人 1955 昭和30年
本作は、1954(昭和29)年3月1日に起きた第五福竜丸の被爆事件に着想を得ています。
同船が太平洋のビキニ環礁近くでマグロ漁していたところ、アメリカ軍による水爆実験に巻き込まれて、乗組員23人全員が被爆したという歴史的な事件です。
本作の中央には、爆発のモチーフが見えます。
左下にある擬人化された船は第五福竜丸、右下から上にかけて大きくなっていく目のついた物体は、キノコ雲でしょう。
時代背景としては、1952年、サンフランシスコ平和条約(日本国との平和条約)の発効。
同年、アメリカが水爆実験に成功。
1953年、アメリカ大統領のアイゼンハワーが国際連合総会で「平和のための原子力」について演説。
1955年12月、日本で原子力基本法が制定される、などといったようなことがあります。
0 件のコメント:
コメントを投稿