横浜市 2016-03-17
*城 吉野弘
利子を禁じた中世の
規範に遠く
あまりに低く、かつ長く
資本の城下に仕える世紀
人間を善と悪とに切り離せない、とする
もっともな人間観
必要悪の上に、資本の城は
こっそり乗っている
善も悪も、観察家の好素材になってしまった
現象に解体されてしまった
人間を現象とみる以上のことを、しかし
人間はしなければならぬ
黙々として今日も人々は資本の城に急ぐ
そして、お互いの声が
その人自身の声なのか、城の声なのか
聞き分けようとして一瞬、心を淋しく曇らせる
第四詩集『感傷旅行』(葡萄社 1971年7月30日)
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