2015年6月2日火曜日

従軍俳句の真実 (筑紫磐井 『朝日新聞』うたをよむ) : 敵の屍(かばね)まだ痙攣(けいれん)す霧濃かり / 茂茅 芒(すすき)の穂がつきと握り殪(たお)れゐる / まこと 馬肉人肉あさる犬らよ枇杷(びわ)の花 / 藤花 たたかひは蝿と屍をのこしすすむ / 朔夏

敵の屍(かばね)まだ痙攣(けいれん)す霧濃かり   茂茅

芒(すすき)の穂がつきと握り殪(たお)れゐる      まこと

馬肉人肉あさる犬らよ枇杷(びわ)の花          藤花

たたかひは蝿と屍をのこしすすむ              朔夏

囀(さえず)りや草に投げ出す仮義足            友蔵

虫止みぬ敵か味方か伝令か                 石穂

向日葵(ひまわり)やとりかこまれて捕虜稚(わか)き 信二

つばくろは天に共匪(きょうひ)の村焼くる        白夜

合歓のかげ銃うちまくり裸なる               美人蕉

『朝日新聞』2015-06-01

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